飛鳥期に近江坂本を勧請した杣山郷13ヶ村の総社、王の面
鵜甘神社 福井県南条郡南越前町堂宮9
[住所]福井県南条郡南越前町堂宮9
[電話]0778-47-2830

鵜甘神社(うかんじんじゃ)は、福井県南条郡南越前町堂宮にある神社。北陸本線の南条駅の南東約3キロ、日野川東岸。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「鵜甘神社(越前国・今立郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では郷社。

山王山の南西麓に鎮座する。社伝によれば、飛鳥時代の白鳳2年(673年)3月、近江坂本の日吉大社を勧請して創立したという。

もとは、当社の北東、山王山の背後にある標高372メートルの千石谷山に鎮座し、杣山郷13ヶ村の総社として崇敬された。『越前国神名帳』にも「正五位」と記載されている。

ただし、式内社「鵜甘神社」は多く、他に、今立郡池田町、越前市の入谷町片屋町の当社および式内同名神社、越前市西樫尾町の荒樫神社の境内社がある。

『神名帳考證』には、「鵜甘部武内宿禰男己西男栖宿禰之後也 與生江同種」とあり、今立郡の豪族生江氏が氏神として祀ったともいう。

鎌倉時代末期には、杣山城の城主である瓜生氏の手厚い保護を受け、そのもとで、社運は大きく隆盛したという。

古来朝廷よりたびたび勅祭があり、瓜生保、新田義貞、脇屋兼輔などが戦勝祈願のため、参詣したと伝わる。それら武将ゆかりの品も現存する。

杣山日吉社(そまやまひえしゃ)、または日吉山王権現と呼ばれ、現在に至るまで、杣山式内総社と称している。

御祭神は鵜草葺不合尊大山咋尊天津彦火瓊瓊杵尊伊邪那美尊大国主大神・曽博王神を合祀している。

曽博王神は、今立郡内9ヶ郷の一つである曾波久の王とされている。例祭は4月13日が春例祭、9月13日が秋例祭。

社宝である「王の面」は鎌倉時代末期の正安4年(1302年)に製作されたもので、表面は朱塗り、裏面は黒漆塗り、面長14.5センチ、面幅18.7センチ、厚さ17.3センチ。

桧材で、現在までに製作年が明確なものとしては、県内最古を誇り、県の文化財に指定されている。

また、鎌倉時代中期の弘安2年(1285年)に制作された木造駒犬一対と、鎌倉時代から室町時代に制作された能面7面がある。

江戸時代中期の享保9年(1724年)の大太刀(銘 藤原重高)とともに、町の文化財に指定されている。

社務所の前には明和4年(1767年)に作庭された杣山池泉蓬莱鶴亀園と呼ばれる庭園がある。また、社務所前に大杉が立つ。

地上5メートルほどで、ほぼ同じ太さの二つの幹に分かれている。樹高40メートル、目通り幹囲5.2メートル、推定樹齢は200-299年。

【ご利益】
武運長久・勝運、厄災除け、地域安全、家内安全
鵜甘神社 福井県南条郡南越前町堂宮
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