正月行事「おこない」、江戸前期の御正体、市内最大級の大杉
刀那神社 福井県鯖江市上戸口町NO1
[住所]福井県鯖江市上戸口町
[電話]-

刀那神社(となじんじゃ)は、福井県鯖江市上戸口町にある神社。北陸本線の鯖江駅の北東約8キロ。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「刀那神社(越前国・今立郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。その昔、戸ノ口の刀那坂という場所に創建され、数多くの社殿が居並ぶ大社だったと伝わる。鎮座地の戸ノ口は、当社名にちなみ当地域を刀那口と呼んだのが転訛したもの。

南北朝時代初期の延元年間(1336年-1340年)、平泉寺衆徒などが三ツ峰の城に籠り、その兵火に罹り、社殿・古記録を焼失したという。

安土桃山時代の天正年間(1573年-1593年)、参拝に不便であるとして、現在地に遷座した。明治41年(1908年)4月15日、無格社白山神社、三峯神社を合祀した。

御祭神は建御雷男命伊弉册尊。毎年1月8日に「おこない」が行われる。古くから厄払いの神事として行われてきた正月行事である。

厄年を迎えた村人は、正装して当社に参拝し、神酒・鏡餅などを神前に供えてお祓いを受ける。境内に桟敷が作られ、厄年者は桟敷の上に上がり餅まきをする。

始めに「おかさ」と呼ばれる大きな餅を捧げ持って、拍子木の合図で一斉に投げる。続いて景品付きの印のついた餅や、いろいろな形に形作られた餅も投げる。

当日は、それらを拾おうと集まった人たちで大変な賑わいとなる。

当社の御正体は、長方形の板状の笏谷石製で、上部左右に「日・月」を配し、その下方中央に「キャ」、左下に「キリーク」、右下に「サ」の種子(梵字)が刻まれている。

種字はそれぞれ白山三所権現である「十一面観音」「阿弥陀」「聖観音」を表している。中央種子の下方に「白山三所妙理大権現」、右端に「寛永十四年」、左端に「九月吉日」の銘文が刻まれている。

寛永14年は江戸時代前期の1637年。白山信仰と神仏習合の表現された作例として希少であり、現在は市の登録文化財。

本殿の西側後方の斜面に大杉が立っている。幹周りは600センチで、高さは20メートルあり、市内では最大級のものである。

木の勢いは非常によく、樹齢は300-400年と考えられる。境内には他にも、幹周り380センチのもの1本、200センチ代のもの6本などをはじめ、多数の杉が生育している。

本殿の左手に境内社らしき祠が二つある。左の祠の前にある石鳥居の扁額は、「地蔵菩薩」と読める文字が刻まれている。

なお、式内社「刀那神社」の論社は他に、越前市の当社および式内同名神社禅定神社に合祀されたものがある。

【ご利益】
武運長久・勝運、安産、家内安全、地域安全
刀那神社 福井県鯖江市上戸口町NO2
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