花長上神社（はなながかみじんじゃ）は、岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲名礼にある神社。樽見鉄道線の木知原駅の西約6キロ、根尾川を渡り西進。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「花長神社（美濃国・大野郡）」に比定される式内社（小社）の論社。近代社格では郷社。

創祀年代は不明。御祭神は、天甕津日女命（天甕津媛命・阿麻彌加都比女）。同じ旧谷汲村内にあり、当社地南約3キロにある花長下神社とは密接な関係がある。

花長下神社の御祭神である赤衾伊農意保須美比古佐和氣能命（あかふすまいぬおおすみひこさわきのみこと）と当社神は『出雲国風土記』に記述がある。

出雲郡伊努郷の条に登場するが、詳細は不明である。赤衾伊農意保須美比古佐和氣能命と天甕津媛命は、島根県出雲市の伊努神社に祀られている。

花長下神社の御祭神が男神であるのに対して、当社神は女神。2柱は夫婦神であるともされる。9月7日の祭礼は、花長下神社と当社で交互に行なっている。

また、愛知県一宮市にある阿豆良神社と御祭神が同一であり、密接な関係がある。阿豆良神社の社伝には下記のように当社地近辺が描かれている。

第11代垂仁天皇の皇子品津別皇子は、7歳になっても言葉が話せなかった。皇后の夢の中に天甕津媛命が現れ、下記のように託宣した。

今まで私を誰も祀ってくれない。祠を立て神に祭るなら、皇子は言葉を話せるようになり、天寿を全うするだろう

そこで垂仁天皇は臣下である建岡君に、天甕津媛命を探し出すように命じた。建岡君は当社近くの美濃国花鹿山に登り、榊の枝で縵（あずら）を作って神に祈った。

そして、「此の縵の落ちた所が神を祭る所であろう」と言うと、縵を遠く投げたという。この縵が落ちた地に創建されたのが阿豆良神社という。

『古事記』にも品津別皇子が話せるようになるまでの説話は掲載されているが、違う話。当社はもとは花鹿山自体を御神体山とするという説がある。

また、「花長」の社名について、もとは「はなか」と読んでいたのが、いつしか「はななが」に変化したという説もある。

なお、式内社「花長神社」の論社は他に、本巣市根尾能郷の能郷白山神社がある。

江戸時代は七社明神と称していた。かつて猿田彦命、天鈿女神、道祖神、山神など7柱の木像を祀っていたことによるという。

現在までに、応神天皇・天照大御神・大山祇神・熊野権現・速玉男命・熊野久須美命・家津御子神・天水分神を併せて祀る。

境内社に、本殿の両脇に貴船社と八幡社が当社本殿と同程度の大きさで鎮座し、他に、雨乞社、御鍬社、神明社、天神社、熊野社、山ノ神社がある。

【ご利益】
家内安全、夫婦和合、子宝・安産、病気平癒

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