東漢文直に関わる社、もと八幡、南北朝期の石造燈籠が重文
[住所]奈良県桜井市山田989
[電話]0744-42-5602 - 八幡神社

東大谷日女命神社(やまとおおたにひめみことじんじゃ)は、奈良県桜井市山田にある神社。橿原神宮前駅の東約4キロ。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』大和国高市郡にある式内社(小社)「東大谷日女命神社」、式内社(大社。月次新嘗)「畝火山口坐神社」の論社。近代社格では郷社。

創祀年代は不詳。『大和志』に、「東大谷日女命神社 山田村に在り 今八幡と称す 石灯籠有り 永和元年造と刻す 式には高市郡と載る」とある。

社名の「東」について、度会延経『神名帳考証』では「東は夜麻止(ヤマト)と訓むべし 東漢文直(ヤマトノアヤノフミノアタイ)と謂う」とある。

また『神名帳考証』には、「谷宿禰坂上大宿禰道祖」とあり、当社と谷宿禰一族との関係を示唆している。

この両氏は、『新撰姓氏録』に「坂上大宿禰 後漢霊帝男延王より出る也」「谷宿禰  坂上大宿禰同祖 都賀直四世孫宇志直の後也」とある。

御祭神は東大谷日女命。稚姫命のこととも。稚姫命は稚日女尊のこととされるが、要はよく分からない女神、しかも年若い女神、ということぐらいしか分からない。

東大谷姫とも記され、『五郡神社記』所引の『忌部氏記録』に、「稚日女命は、朝日豊明姫命の隠号」とある。例祭は9月24日。

山田寺跡の南の東大谷山に鎮座し、旧高市・十市両郡の境付近。もと八幡社と称していたが、近世には現社号を称した。現在は廃寺となっている明王寺の鎭守だったとも。

正面鳥居を入り、参道を進んだ先の石段の上が境内となっている。境内正面に入母屋造妻入、瓦葺の拝殿、その奥に玉垣で囲まれた石積壇の上、中央に本殿がある。

本殿は三間社流造、銅板葺。その左右に春日造、銅板葺の末社二祠が建つ。本殿右が厳島神社(市杵島姫命)、左が八坂神社(素盞鳴命)。

四角型の典型的作例で、石大工行長作の清楚な名品として知られる石造燈籠が伝わる。南北朝時代の永和元年(1375年)の作。国の重要文化財に指定されている。

花嵩岩製で、総高2.28メートル、笠の幅76センチ。反りがゆるく、全体に緩慢な曲線をとり、笠は18センチ、角84.8センチ。

竿の正面に善哉灯籠と呼ばれる四言八句の讃文を刻み、下部に銘文がある。石大工薩摩権守行長は、正平24年(1369年)、吉野鳳閣寺の石宝塔を作っている。

なお、式内社「東大谷日女命神社」「畝火山口坐神社」の論社は他に、いずれも橿原市で、畝傍町大谷町にそれぞれ式内同名神社がある。

【ご利益】
開運招福、厄災除け
東大谷日女命神社 奈良県桜井市山田
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