奈良期に伊雑宮大歳社を勧請、両面宝鏡、烈女お初の墓
[住所]島根県浜田市元浜町222-2
[電話]0855-22-2349

大歳神社(おおとしじんじゃ)は、島根県浜田市元浜町にある神社。浜田漁港の近く、山陰本線の浜田駅の西約2.3キロ。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「大歳神社(石見国・那賀郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

第45代聖武天皇の御代、奈良時代前期の神亀2年(725年)6月、伊勢の神宮(伊勢神宮)の皇大神宮(内宮)の別宮伊雑宮大歳社より勧請したと伝わる。

これは江津市の都野津町渡津町の同名神社と同じ由緒である。大歳社は、伊雑宮の所管社で大歳神を祀る佐美長神社のことか。

式内社「大歳神社」は『日本三代実録』によれば、貞観13年(871年)4月3日に、従五位下の神階を授けられた。

しかし論社や類社が多く、特定が難しい。当社もそのうちの一社。主な論社は、先の江津市の都野津町と渡津町の他、江津市和木町、市内の弥栄町国分町などに当社あるいは式内と同名の神社がある。

第68代後一条天皇の御代、平安時代中期の寛仁4年(1020年)、中納言常方が石見国へ巡察した時、両面宝鏡を寄進したと伝わる。

明治になり、村社に列し、明治39年(1906年)4月には神饌幣帛料供進社に指定された。御祭神は、大年神(大年大神)。倉稲魂神を配祀する。

例祭は10月第2日曜日。夏祭りには、大尾谷社中・亀山社中・西村社中・後野社中などによる石見神楽の奉納などがある。

古くから宮座の制度があり、新しく船頭に就任するものは誓盃を受ける儀式があったという。この祭りを「オサンペー祭」と呼ぶ。

境内社に住吉神社、稲荷社、風日宮恵美須神社がある。本殿の後方へ続く道を進むと浜田漁港が見下ろせる。漁業遭難者の碑や、灯籠と石祠がある。

境内から粟島公園へ向う道の途中に、烈女お初の墓がある。江戸時代中期の享保9年(1724年)、浜田藩の江戸屋敷に岡本道女という娘が働いていた。

ある日、藩主に急用で召され、急いでいた道女は自分の草履が見当らず、人の草履を履いて出た。草履の持ち主である落合沢野はそれを咎めた。

道女の親や家名を罵り、道女を責めた。家名を辱められた無念さから、道女は自害した。道女に仕えていた、松田察(お初)は、主人の無念を晴らすため、沢野に対し仇討を決行。

道女が自害に用いた懐剣で沢野を討った。この行為を忠節と称えられ、烈女お初の鏡山事件として、それ以降歌舞伎などで有名な話になったという。

【ご利益】
五穀豊穣、大漁満足、海上安全
大歳神社 島根県浜田市元浜町
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