坂上田村麻呂が創建、重文の本殿、5月七つ詣りで男子が初登山
[住所]新潟県十日町市犬伏3357
[電話]-

松苧神社(まつおじんじゃ)は、新潟県十日町市犬伏にある神社。『延喜式神名帳』にある「阿比多神社(越後国・頸城郡)」に比定される式内社(小社)の論社。御朱印の有無は不明。

北陸急行ほくほく線のまつだい駅の北東約5.5キロ。標高360メートルの松苧山山頂に鎮座する。登山道の入口から約20分かけて登る。毎年12月から4月は雪のため登山できない。

平安時代初期の大同2年(807年)、坂上田村麻呂が蝦夷征討からの帰途、奴奈川姫を祀るために創建したという。

もとは現在地の山頂より北東の頂き、高松の地に鎮座していた社殿を、同年に田村麻呂が現在地に移したとも伝えられる。

本殿は、室町時代の明応6年(1497年)に建立された木造茅葺きで、県内最古の建築物として、国の重要文化財に指定されている。

桁行7間、梁間3間、背面のみ4間、正面向拝1間。寄棟作り、妻入りで奥行き深く、屋根は茅葺きである。

柱は円柱で船肘木を組み、軒は1間疎垂木。垂木は太く軒の出は少ない。周囲は切目縁を回すが、現在は縁板上に軒支柱を立て、軒に板囲いがある。

向拝の出は短く、方柱で連三斗を組み、本柱と海老虹梁でつなぐ。現在は向拝柱の外に支柱を立てている。

社殿内には内陣宮殿、向獅子一対、絵馬赤不動、青不動、室町時代の御輿などがあり、いずれも有形文化財として貴重。

上杉謙信をはじめとする戦国の武将たちも祈願したと伝えられ、謙信寄進の小刀、日の丸の軍配が伝えられている。現在は別の場所で保管されている。

近郷の十日町市松代・松之山地域の総鎮守であり、「松苧大権現」と呼ばれ、「麻織物の神」として信仰を集めた。

往時は中院観音堂とも呼ばれ、台座に応永10年(1402年)8月とある白馬観音像(三面八臂の馬頭観音)を守り本尊とした。

観音堂は昭和20年(1945年)の大雪で倒壊、現在は礎石と相撲の土俵が残るのみ。土俵は観音堂の祭礼で奉納相撲を興行し、近郷の若者や力自慢の力士が大勢集まったという。

例祭は5月8日。七つ詣り(ななつまいり。七ツ詣り)で、数え7歳の男の子が当社参拝のために初登山に挑む伝統行事である。

無事に参拝した子供は、神主からお祓いを受け、家族や親戚により小宴会が開かれる。また、地元の方が山頂でおもちゃ屋を開き、家族・親戚がおもちゃを買ってあげる。

なお、式内社「阿比多神社」の論社は他に、上越市の長浜の阿比多神社、西本町の府中八幡宮がある。

【ご利益】
身体壮健、リフレッシュ、健康長寿、地域安全
松苧神社 新潟県十日町市犬伏
【関連記事】
新潟県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、新潟県に鎮座している神社の一覧