加理波夜須多祁比波預命を祀る式内論社、県下稀な巨樹のホルトノキ
[住所]静岡県伊東市宇佐美432
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比波預天神社(ひはよてんじんじゃ)は、静岡県伊東市宇佐美にある神社。伊東線の宇佐美駅の北東1キロほど。通称は「天神さん」。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「加理波夜須多祁比波預命神社(伊豆国・田方郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。この地は縄文より須恵にいたる各時代の土器類が出土しており、古代集落の存在を推測させている。

『伊豆國神階帳』には「従四位上 たまたの明神」とある。主祭神は、加理波夜須多祁比波預命。

言い伝えによると、加理波夜須多祁比波預命は三島溝橛耳神の長子。上代、海上より当地に上陸し、開拓した神で、宇佐美の氏神として祀られた。

比波預命の孫である多祁美加々命の五世孫の伊波磯命は伊豆国忌部の祖であるという。平安時代初期、第53代淳和天(在位:823年-833)の頃、初めて社殿を造営した。

御祭神には異説があり、加理波夜須多祁比波預命の波夜須から天速日命や熯速日命とするもの。延喜年間(901年-923年)、菅原道真公を合祀したという。

道真は延喜3年(903年) 2月25日の薨去。延喜19年(919年)、勅令により、後の太宰府天満宮が創建され、北野天満宮の創建は天暦元年(947年)。

式内社「加理波夜須多祁比波預命神社」に関しても、さまざまな説がある。一つは、御祭神を熯速日命と考え、迸る血から生まれたとし、赤澤の地にあるとするもの。

赤沢の地には三島神社がある。また、加理波夜須多祁比波預命の加理波は狩場として、韮山山木の天神社とするもの。現在、皇大神社の相殿に祀られている。

さらに、加理波夜須多祁比波預命の夜須多祁は安竹として、大平の地にあるとするもの。現在は大平神社がある。

「たまた明神」の「たまた」が「とまた」となり、留田(とまた)の鎮守として崇敬された。留田天神社とも呼ばれたが、明治16年(1883年)に現社名に改称。

当社の境内には、ホルトの木(ホルトノキ)がある。根回り10メートル、目通り6.9メートル、樹高18メートル。

県下でも有数の巨木で、根の部分が露出している、いわゆる根上りなのが珍しい。「比波預天神ホルトの木」として、県の天然記念物に指定されている。

ホルトノキの語源は、ポルトガルともされるが、外来種ではなく在来種。市内には宇佐美の熊野神社、湯川の松月院、富戸の蓮着寺境内にも大木がある。

境内社に、山神社(大山祇命)、稲荷社、神明社、若宮社などがある。社殿としては右手に一宇あるのみ。

なお、当社名について、『全国神社祭祀祭礼総合調査』(神社本庁、平成7年)では「日波預天神社」となっているが、誤りだろう。

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比波預天神社 静岡県伊東市宇佐美
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