室町期に伊予の金刀比羅を勧請、明治期遷座、鷲頭山山頂に今も奥宮
[住所]静岡県沼津市大平1824
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鷲頭神社(わしづじんじゃ)は、静岡県沼津市大平にある神社。東海道本線の沼津駅の南東5キロ。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「大朝神社(伊豆国・田方郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

狩野川の南側、大平集落にある天満山山頂に鎮座する。室町時代の文明元年(1469年)、伊予国より高龗神を神主磯部伊代守とともに勧請したのが起源。

勧請元は、伊予国の金刀比羅神社とされる。金刀比羅神社といえば同じ四国でも讃岐の金毘羅が有名だが、伊予国のものは不詳。

当初は、戸ケ谷堂返しの横に奉安したと伝えられている。文明13年(1481年)、現在地の南西にある標高392メートルの鷲頭山山頂に社殿を造成して遷宮した。

安土桃山時代の天正9年(1581年)、北条氏康の命により社殿を改築、神主家敷を普請し、山火事に備えて番人を配置した。

しかし、氏康は元亀2年(1571)に死没している。北条氏政の誤りか。江戸時代中期の安永8年(1779年)、獅子浜から出火して社殿が焼失。翌年修復された。

幕末の万延元年(1860年)、大平八神社などを合祀、明治7年(1874年)には現在地に遷座、この際以前から この地に祀られていた天神社や村中全ての神社を合祀した。

ただし、現在においても鷲頭山山頂には当社の奥宮としての祠が残る。鷲頭山山頂は奥宮神地と呼ばれる。明治8年(1875年)、村社に列した。

大正12年(1923年)、関東大震災により、拝殿の屋根瓦が落下したが、すぐに修復。昭和5年(1930年)、伊豆震災に伴い、拝殿の屋根を大修理、本殿の石積を補修した。

昭和43年(1968年)、本殿の屋根葺替え、修理が行われ、平成6年(1994年)には本殿の屋根と廻廊が改修され、拝殿の一部が増改築された。

御祭神は高龗神。天神社(天穂日命)、八幡社(誉田別命)、御嶽社(日本武尊)を配祀している。

例祭は10月15日で大祭。子供しゃぎりとお神輿の渡御、大人しゃぎりが奉納される。2月と5月に小祭が行われている。昔からの恒例により、大平の各地が交代に祭典当番を行っている。

なお、室町時代の勧請ということであれば、式内社ではない。上述のように多くの神社を合祀しているので、その中の一部に式内論社が含まれていたものか。

式内社「大朝神社」の論社は他に、伊豆市の大宮神社市内の式内同名神社、三島市大場の赤王神社があり、伊豆の国市神島の神益麻志神社が参考社とされる。

【ご利益】
地域安全、家内安全、五穀豊穣、厄災除け
鷲頭神社 静岡県沼津市大平
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