平安前期に甘露降る、苔むした緑が深い神秘的な参道、小ぶりな本殿
[住所]鳥取県岩美郡岩美町陸上57
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甘露神社(かんろじんじゃ)は、鳥取県岩美郡岩美町陸上にある神社。山陰本線の東浜駅の南、山の中腹。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「甘露神社(因幡国・巨濃郡)」に比定される式内社(小社)。平安時代前期の仁寿2年(852年)5月、創祀と伝わる。

この年、春日大明神より因幡国はじめ九つの国に甘露が降るというお告げがあり、使者が当地を訪ねたところ、氏神山(神谷山)の峯に大きな岩があった。

その左右にある笹に甘露が溜まっていたのを発見し、それを持ち帰って帝(第55代文徳天皇)に献上したところ、平穏になったことから、現社号が定まった、という。

甘露とは、もとは中国の伝説で、天子が仁政を行った治世に、天が降らせたという甘いつゆ。苦悩を除き、長寿を保ち、死者をも復活させるという仏教で言う天人の飲み物。

もとは現在地より西へ約1キロほど、通称神谷山に鎮座したが、中古、戦乱により、海賊が侵攻、村民が離散して神事執行ができなくなったため、現在地に遷座した。

室町時代の永享3年(1413年)、文安3年(1446年)10月、江戸時代前期の貞享2年(1685年)10月、元禄16年(1703年)9月にそれぞれ社殿造営の記録が残る。

永享3年の棟札には、「寺谷次右衛門・中島三郎左衛門本殿修理」と記されているという。

江戸時代には現在の東陸上にあたる中島村の産土神として、海浜の山の下、松林中にある氏神藏王権現と二神同社に鎮祭した、という。

御祭神は大山祇命啼澤女命。例祭は10月10日で秋例大祭。線路の脇から山中に入り、明神鳥居と常夜灯、その奥には大きなイチョウ。

岩盤の間をぬけるような苔むした参道がある。参道は深い緑に覆われている。幻想的・神秘的な神社との評価がある。

比較的長く、緩やかな石段を上ると左に手水鉢。甘露という名前の通り、よく冷えた透き通った水が溢れている。

その向こうに拝殿が見える。拝殿の前には、建立年不詳ながら出雲型の阿吽の狛犬一対が、やはり苔むしている。

拝殿の後ろの本殿は、小ぶりではあるが、造作は頑健で細かな意匠もみえる。昇龍の精緻な彫刻もあり、マニアからの評価が高い。

【ご利益】
リフレッシュ、身体壮健、地域安全、五穀豊穣
甘露神社 鳥取県岩美郡岩美町陸上
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