高根山古墳の多賀神社、本社の他に岩本神社・蚕養神社を祀る
[住所]静岡県浜松市浜北区尾野2850
[電話]054-631-2350

高根神社(たかねじんじゃ)は、静岡県浜松市浜北区尾野にある神社。国道362号線の尾野高根交差点のすぐ近く、新東名高速道路の南。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「多賀神社(遠江国・麁玉郡)」に比定される式内社(小社)の論社。

市北部の北遠の山々が平野へと出ようとする山際。尾根の頂上付近には直径15メートルの円墳である高根山古墳がある。

裾に表参道入口があり、少し進むと鳥居がある。距離は短いが、急な参道を登る。山の頂上より少し低い所の平らな場所に拝殿がある。

拝殿のすぐ後ろは崖となっており、その崖を登った所に一間社流造の本殿が鎮座する。この本殿からまた少し登ったところが高根山古墳。

石室の長さは3.5メートルと短いが、中は立ち上がるほど高い。玄室は3メートルで、両袖式の石室。この北側にさらに41基の古墳が確認されている。

全山が古墳のようになっていたが、そのほとんどが新東名高速道路の工事により、消滅した。当社の創祀年代は不詳。

当所は、式内社名通り多賀神社と呼ばれた。拝殿は戦国時代の文亀2年(1502年)の造営とされ、総欅造り茅葺きだったが、昭和の末、銅板に変えた。

崖を上ったところにある当社本殿の左には岩本神社が祀られている。当社の守護神とされ、その名が示すように、古の巨石信仰の名残りと考えられている。

この岩本神は、別名を岩本坊大天狗とも呼ばれ、高根山の主だったとも。あるいは山の巨岩の精であるとも。古墳と磐座との関係から語られるべき信仰のようだ。

境内社として、蚕養神社(蚕影神社)がある。表参道の脇に祀られ、養蚕業の守護神として信仰された。

当社は、仏教の興隆とともに行基菩薩が刻まれたと伝えられる聖観世音や、徳川家康の馬を祀る馬頭観世音などを併せて祀り、高根山観音と呼ばれていた。

明治6年(1873年)、神仏分離令によって、観音は下山して大宝寺へ移された。さらに時の政府により、当社は金刀比羅神社への合祀が命じられた。

しかし当時の村民が、当社が式内社で、さらに除地などで3町歩以上の山林を所有するため、独立社として経営できるなどと申し立て、これが認められて存続が決まった。

現在の御祭神は当社が保食神。例祭は2月上午の日で初午祭り。稲荷要素が強いのか。また、岩本神社が岩本大神(天狗)、蚕養神社が稚産霊神

昔は、初午には近隣の飾付けられた馬が多く参拝に訪れ、また養蚕関係者も、豊産を祈って社前の白い玉石と、高根山に自生する羊歯を頂いて帰った。

次に参拝する時、玉石を倍にして返す習わしだった。そのため現在でも社前に玉石が多く見受けられる。また他に、心子女神を祀る。

心子女神は、心臓・子宮・胃腸などを司る神で、子宝に恵まれない、各臓器に異常があるなどの場合、祈願すると平癒すると伝わる。

なお、式内社「多賀神社」の論社は他に、市内浜北区宮口の六所神社がある。

【ご利益】
五穀豊穣、事業成功、産業振興、病気平癒
高根神社 静岡県浜松市浜北区尾野
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