4月の神事は王の舞など県指定、盃を後ろ向きに放り投げる
[住所]福井県三方上中郡若狭町向笠13-28
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国津神社(くにつじんじゃ)は、福井県三方上中郡若狭町向笠にある神社。近代社格では村社。小浜線の三方駅の西。御朱印の有無は不明。

国道27号線の丹後街道から県道217号線を進み、舞鶴若狭自動車道を越え、直進して向笠の集落に向かう。

境内に入ると、ほぼ同じような神殿が横に三つ並んでいる。右が「神明宮」、中央が「國津社」、左が「天満宮」。

伊勢の神宮(伊勢神宮)領である向笠(むかさ)御厨の鎮守だという。御祭神は、国津大神・市杵島姫命素盞嗚尊・大鬚大神・伊弉那岐尊

例祭は4月3日。向笠には、越の村・流鏑馬の村・大村・田楽の村という四組の講組織があり、それぞれの当屋が寄り合って神事を行っている。

3月31日、各組の頭屋12名が浜で体を清め、祭の日まで各種の御幣づくり、供物の餅つき、輿飾りなどの準備を行う。

例祭当日は、各神事講の宿で講を行い、昼過ぎから行例を整えて村立ちとなり、越の村・流鏑馬の村・大村・田楽の村の順に宿を出て当社へ向かう。

各組全員が烏帽子・直垂姿で、露払、警護、一の天神、一の老司、大御幣、御護供係、酒タタキ、囃し太鼓、ササラ講員お供、オハケ、一般の人と続き、行列する。

馬場という場所で4組が揃い、当社で一同参拝の後、天満社の前で折敷と盃を後ろ向きに放り投げる、風変わりな行事が行われる。

参道前の御旅所に神輿を据え、王の舞と田楽を舞い、再び社前に戻って王の舞・田楽・田植え踊りを奉納して、祭礼は終了する。

いわゆる若狭の王の舞群の一つだが、当社の王の舞は子供ではなく、若者が赤い狩衣と括袴を着て舞う。

王の舞の途中から始まる田楽と田植の舞の演者は、舞い終わると全速力で王の舞を突き倒しに行き、突き倒すことが出来たらその年は大豊作とされている。

この神事の起源は明確ではないが、600年以上前に遡るといわれており、越の村の舞面は、室町時代の作という専門家の鑑定もあるという。

講員御掟に従い、華美になることなく、謹厳な神事を営み続けているところに大きな意義がある。「国津神社の神事」として、県指定無形民俗文化財。

当社殿の左側に、ムクノキがある。樹高15メートル、目通り幹囲5.1メートル、推定樹齢は300年以上。境内には他に、ケヤキ巨木も数本ある。

【ご利益】
厄災除け、無病息災、家内安全、安産
国津神社 福井県三方上中郡若狭町向笠
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