和泉式部も療養した不思議な塩の井戸、潮満玉・潮涸玉の潮妙見大神
鹿野田神社 宮崎県西都市西都市鹿野田2020
[住所]宮崎県西都市鹿野田2020
[電話]0983-42-3971

鹿野田神社(かのだじんじゃ)は、宮崎県西都市鹿野田にある神社。近代社格では郷社。御朱印の有無は不明。

国道219号線の米良街道から県道18号線を西進、その後、県道324号線を南進してすぐ。西都原古墳群の南、約7キロ。

創立年代は不詳。江戸時代中期の享保11年(1726年)、社殿を再興した時の棟札から、鎌倉時代後期の弘安(1278年-1288年)以前より勧請された古社であることが推考される。

弘安6年(1283年)より、江戸時代前期の貞享3年(1686年)まで、9度の上棟が行われている。

享保11年のものは、社殿の腐蝕が深刻となり、岩を穿ち、社地を拡大、壇を築き、柱礎を替え、さらに再興したもの。

領主伊東氏の崇敬に続き、旧佐土原藩主島津氏は社領10石を寄進し、累代から篤い崇敬を受けた。

『日向地誌』には下記のような記述がある。現存する「潮満井戸」「潮満玉の泉」とも呼ばれるもので、塩籠明神と称し、潮神社とも呼び、豊玉姫を祀っている。
社地の前に潮井あり 其地海浜を距る三里三十余町 地勢の海面より高きこと幾丈なるに、此井海潮と共に満涸あり 大潮の時は井中より溢れて地上に汎濫す 其味鹺鹹海潮と少も異なるなし 奇なりと謂ふへし
当社御祭神の彦火火出見尊は、兄の火照命の釣針をなくし、途方に暮れたが、海神綿津見大神の協力を得て、釣針を探し当てた。

さらに綿津見大神から潮満玉(しおみつたま)と潮涸玉(しおひるたま)を授かり、火照命のもとに帰還した。

この二つの玉が当社の御神体であり、当地から12キロ離れた日向灘の干満に合わせて水位が上下するとされるこの潮満の泉は、その御神徳によるものとされている。

井戸の塩水は昔から、飲むと慢性胃腸病、便秘、浴用としては神経痛、筋肉痛、疲労回復、慢性皮膚病などに効能があると伝わる。

平安時代の有名な女流歌人和泉式部は八代(国富町)の法華嶽薬師に参籠した後、帰郷の途中、再び病となりこの泉で湯治したと伝わる。

しかし、近くの薬師堂に籠り、読経三昧の日々を送り、ついに当地で43歳の生涯を閉じたと伝えられる。
日隠れや 氷室の里を 眺むれば 藻塩の烟り いつも絶やせぬ
上の歌は和泉式部の歌とされ、当社近くには、式部が籠った薬師堂跡と式部の墓があり、里人によって祀られている。

幕末、勤王の志士高山彦九郎が諸国遊説の途、当社に参拝し、村人と濁酒を汲み交し、また飫肥藩の学者安井息軒が都於郡の史跡巡りをして当社神主宅に宿した記録が残る。

潮妙見大神・潮様とも呼ばれたが、明治6年(1873年)、現社号に改称し、郷社に列した。明治40年(1907年)2月、神饌幣帛料供進社に指定された。

例祭は旧暦10月15日。1月19日と11月19日に白鬚祭があり、5月15日が五穀豊穣祈願祭、12月31日が大祓・焼却祭。

【ご利益】
病気平癒、夫婦和合、家内安全、厄災除け
鹿野田神社 宮崎県西都市西都市鹿野田
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