式内・針名神社の可能性、新開拓・伊勢神宮の御厨の頃から奉斎
[住所]愛知県名古屋市中村区烏森町字村内下66
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天神社(てんじんしゃ)は、愛知県名古屋市中村区烏森町にある神社。烏森天神社とも。近鉄名古屋線に烏森駅があるが、近鉄八田駅からの方が近いか。線路の北側。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「針名神社(尾張国・愛智郡)」に比定される式内社(小社)の論社。

創祀年代は不詳。御祭神は菅原道真。例祭は10月10日で、秋祭り。湯立て祭りとも呼ばれ、近年では松蔭高校和太鼓部による演奏が奉納されている。

また、町内神楽曳き回しや、みたらし団子の振る舞い、かき氷やベビーカステラ、ビールなどの出店もある。

3月下旬には春祭りがあり、小学5年生の女子による巫女舞、乙女の舞が奉納される。

当社本殿右後ろに曹洞宗襌養寺(禅養寺)があり、その中に白武稲荷社がある。当社は禅養寺の門前社だった可能性がある。

当社西側に観音堂、内部に観音像と弘法像が安置され、観音堂の右に地蔵堂と何無妙法蓮華経の石碑がある。

式内比定について。式内社「針名神社」は通常、市内天白区天白町の針名神社に比定される。しかし、その地が当時、愛智郡だった可能性は低く、明らかに山田郡であり、齟齬がある。

これまで、さまざまに考定されてきたが、当社が式内社「針名神社」とする説も有力である。

『尾張国地名考』に「延喜式愛知郡針名神社従二位針名天神は尾治針根連を祀る。一楊庄烏森禅養寺門前にある氏神是なるべし云々」とある。

野田・厨郷(ちゅうごう)・荒子・高畠・治田(はった)・萬町・烏森の7ヶ村を指す一楊庄は『延喜式』の頃、新開の地だった。

一円は伊勢の神宮(伊勢神宮)の神戸御厨の地で、式内社名の「針名」は、「治田」と同じく、「開墾」の意味だともいう。

鎌倉時代以来、村々が分かれ独立、今は烏森の氏神となっている当社が式内論社。「針名」が「治田」に転訛したことによる。「治田」が現在は「八田」か。

そうであれば、式内社「針名神社」の御祭神が尾治針名根連命であることは動かないようなので、当社のもとの御祭神も尾治針名根連命ということになる。

尾治針名根連命は、尾張氏の祖先神で尾張国一宮真清田神社の御祭神でもある天火明命の十四世孫にあたるとされる。

天白区天白町の針名神社や犬山市の針綱神社で祀られ、さらに岡山県岡山市北区には尾針神社尾治針名真若比咩神社がある。

なお、当社は拝殿から弊殿までが木造で、本殿がコンクリート造。しかも、ホワイトとピンクのツートンカラーで、かわいらしい。

【ご利益】
学業・受験合格、家内安全、病気平癒(公式HP
天神社 愛知県名古屋市中村区烏森町
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