亀卜の発祥地、旧暦11月に神婚の神事「オヒデリ様の元山送り」
雷命神社 長崎県対馬市厳原町阿連215
[住所]長崎県対馬市厳原町阿連215
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雷命神社(らいめいじんじゃ)は、長崎県対馬市厳原町阿連にある神社。下対馬の東側、阿連川沿いの河口側。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 西海道神 対馬国 下県郡「雷命神社」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。御祭神は雷大臣命。神功皇后の審神者(サニワ)を勤めた中臣烏賊使主(なかとみのいかつのおみ)のことである。

『新撰姓氏録』には、天児屋根命十四世孫とある。当地は雷大臣命の住居跡とされ、亀卜発祥の地と伝わる。

社殿や社殿内の幕に橘の紋が見られる。当社の神紋か。代々の宮司は橘氏であり、雷大臣の後裔とされ、亀卜を伝えてきたという。

この橘家は、城下にある国府八幡宮の従宮司をも勤めた重い家柄だったという。亀卜は現在、豆酘地区のサンゾーロー祭りで見ることができる。

式内社「雷命神社」は承和10年(843年)9月に従五位下、貞観12年(870年)に正五位下を授けられた。他の論社に、豆酘の雷神社がある。

当社は近世には八龍大明神と呼ばれ、今でも水神として祀られているが、明治になり旧称に復し、明治7年(1874年)6月、村社に列した。

旧暦11月9日、「オヒデリ様の元山送り」という一連の神事が行われる。当社神に対して、上流には。太陽神「オヒデリ(お日照り)」という女神がいる。

当社神が出雲に出かける神無月の間、里に下りて村を守るとされる。当社神は11月1日に戻り、11月8日までオヒデリと同居する。

8日、当社で大祭が行われ、翌9日オヒデリが元山に帰るのを、村中でお送りするのが「元山送り」。

オヒデリはこの時、懐妊していると伝えられている。元山送りでは、大カナグラ幣を先頭に、御幣を持った行列が、元の神山へと進む。

途中、大カナグラ幣の捧持者が、「いざや、いざやとのばらを、もとのお山にお送り申す」と大声で音頭をとる。

神山の下まで来ると、川原を裸足で進み、神前に幣を納めて、夕闇の中で祭礼を行い、川原で直会をする。

この水神と日神の「神婚」により里に豊饒がもたらされる、という民俗的世界が、現在もなお息づいている。市指定無形民俗文化財である。

境内社に阿恵之御子神社がある。雷大臣命の御子である日本大臣命を祀る。他の境内社に、金比羅神社・海神神社・軍知神社・薬間神社・恵比須神社・御大照神社がある。

当社入口近くに、「傳教大師入唐帰國着船之地」の碑がある。伝教大師最澄が唐への留学の帰国時、当地に立ち寄ったようだ。

【ご利益】
五穀豊穣、地域安全、厄災除け
雷命神社 長崎県対馬市厳原町阿連
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