巨岩が二つに割れた、天岩戸そのもの、あるいは巨大な陰石
[住所]徳島県名西郡神山町鬼籠野元山746
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立岩神社(たていわじんじゃ)は、徳島県名西郡神山町鬼籠野元山にある神社。天岩戸立岩神社(あまのいわとたていわじんじゃ)とも。御朱印の有無は不明。

国道438号線を神山温泉の手前あたりで南進、村道に入り、林道元山槻地(けやきじ)線を辿っていく。案内板などはない。

林道から脇道に入り鳥居をくぐって200メートルほどの地に鎮座する。巨岩の麓に小さな社殿がある原初的な神社である。創祀年代は不詳。

『神山町史』によれば、御祭神は級長津彦命・級長戸辺命、罔象女命の3柱。いずれも伊邪那美命から生まれた風の神と水の神。

当地の守護神として、特に雨乞い祈祷の神として知られている。

当社の御神体である巨岩は、天の立岩とも呼ばれ、社殿の後ろにある大きな岩が二つに割れている様子は、まさに岩の扉のよう。

そのため、これを日本神話における天照大神が引き籠った天岩戸そのものであるとの説がある。

『阿波国風土記』には、空より降ってきた大きな山は阿波国に下りたって、天の元山と呼ばれ、その山が砕けて、大和国に降り注いで天香具山になった、とある。

『古事記』の天岩戸の段では、神々が天香山から様々なものを集めて神事を行い、何とか天照大神を引っ張り出そうという試みがなされている。

つまり元山と神代の時代から呼ばれてきた当地のこと、だという。また、天岩戸を開けた手力男神は、「佐那那縣」に坐した、とある。

この「佐那那縣」は一般的には三重県多気郡多気町仁田の佐那神社の地に比定されるが、当地にも佐那河内村があり、そこには手力男神を祀る天岩戸別神社がある。

ちなみに、大和国の天香具山の地にも奈良県橿原市南浦町に天岩戸神社がある。

当社そのものを紹介する資料ではあまり触れられていないが、大きな岩が二つに割れているのは、女性のシンボルである女陰を示すものでもある。つまり陰石。

当地から東へ13キロほど、徳島市多家良町には日本一の男根のシンボルである陽石を祀る、当社と同名の神社がある。

この徳島市の立岩神社では、高さ20メートル、幅20メートルの当社御神体を陰石とし、明確に当社と同社は対の関係にあると指摘している。

徳島市の立岩神社は、近くにある本社の山方比古神社(金山神社)とともにたたらの神。当社は御祭神から見れば農業神ではある。

一方で、風や水はやはりたたらには欠かせない要素。山方比古神社でのたたらは、当社及び一帯の一族の助力なしではありえなかった、ということを示すものか。

【ご利益】
五穀豊穣、事業成功
立岩神社 徳島県名西郡神山町鬼籠野元山
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