加太春日神社（かだかすがじんじゃ）は、和歌山県和歌山市加太にある神社。近代社格では村社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

創建年代は不詳。『（紀伊）国造家旧記』によると、初代神武天皇東征の際、紀国造氏の祖である天道根命が神鏡と日矛の二つの神宝を奉じて加太浦に上陸した。

そこで、頓宮を造営して天照大御神を祀ったことが当社の起源だという。神鏡・日矛は日前神宮・国懸神宮の御神体である。

ちなみにその後、天道根命は現在、木本八幡宮が鎮座する木本を経て、毛見郷南方の琴ノ浦（琴浦）に浮かぶ岩上に二種の神宝を奉安した。つまり、日前神宮・国懸神宮の旧地とされる濱宮である。

『延喜式』巻9・10神名帳には記載がない式外社だが、『紀伊国神名帳』 に「正一位春日大神」と記されている。

飛鳥時代の半ば伝説的な山岳修業者で修験道の開祖である役小角（役行者）が、友ヶ島を行場とし、当社を勧請して守護神としたという。

そのため現在でも毎年4月20日、当社に本山修験宗の総本山である聖護院門跡が大勢の山伏僧とともに参拝している。

当地は紀淡海峡に面して漁業の盛んなところであるため、のちに航海安全と大漁を祈願する住吉大神が合祀されたという。

中世には「住吉神社」とも称されていた。鎌倉時代後期の文保元年（1317年）6月29日「預所某田地寄進状」（向井家文書）に「賀太庄住吉社」とある。

『紀伊風土記』によると、日野左衛門藤原光福が地頭としてこの地を支配した嘉元年間（1303年—1317年）、自分の祖先神である春日三神を新たに祀った。

そこで、総名として「春日社」と称したとあり、嘉吉2年（1442年）の記録に「春日明神神事日記」（向井家文書）がある。

『紀伊名所図会』によると、社地はもと、現在地から東の山の中腹にあった。

安土桃山時代の天正年間（1573年—1592年）、豊臣秀長の家臣で和歌山城代の桑山重晴によって現在地に遷した。

なお、棟札によって慶長元年（1596年）に大がかりな社殿の造作がなされたことも実証されている。この本殿が現存し、棟札とともに国の重要文化財に指定されている。

当社は、明治時代まで神職はおかず、神社経営は宮座形式の当屋制によって運営されていた。

第二次大戦後、宗教法人となった時、現社名が用いられるようになった。御祭神は、主祭神が天児屋根命・武甕槌神・経津主神の春日神。天照大神・住吉大神を配祀する。

昭和56年、環境庁（現環境省）主催の第23回自然公園大会において採火神社に指定され、聖火を献火するとともに、氏子有志による獅子舞が郷土芸能として披露された。

例祭は5月20日。渡御祭は5月第3土曜日に斎行される。当社の例祭は「えびまつり」と呼ばれている。

往時、当地では伊勢蝦（海老）が多く獲れ、例祭当日、各家庭で神棚にお供えしたり、宴席に用いたのが由来。

当地では漁家が多いためか、神を慰め、身を浄めようとする心が強く、渡御祭に供奉する獅子舞や長刀振りは古くから重要な役割を果たしている。

子供たちはこの獅子に噛んで貰うと、無病息災になるという風習が残っている。また長刀振りは必ず神輿を先導し、祓い浄めながら渡御を斎行する。

また、当社は独特なおみくじでも有名。かわいらしい小さな真っ赤な鯛の中に、おみくじが入っている「めで鯛みくじ」がある。

「招福だるま4色（おみくじ付）」と「招福一年安鯛（おみくじ付）」のだるまさんと鯛の縁起物もある。

【ご利益】
大漁満足・商売繁盛、海上・交通安全、開運招福（公式HP）

【関連記事】
・和歌山県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、和歌山県に鎮座している神社の一覧