大国主命と八上姫命の娘が榎の俣に指を挟まれ鎮座した宝石山、巨石
阿陀萱神社 鳥取県米子市橋本623
[住所]鳥取県米子市橋本623
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阿陀萱神社(あだかやじんじゃ)は、鳥取県米子市橋本にある神社。近代社格では村社。御朱印の有無は不明。

社伝によれば、大国主命八上比売が結ばれ、出雲国の直会(直江)で多岐喜姫命が生まれ、因幡国への里帰りの途中、多岐喜姫命は榎原郷橋本邑の榎の俣に指を挟んだ。

そこで当地にとどまり、鎮守として祭祀されたのが当社だという。創祀年代は不詳だが、この由緒であれば神代となる。当社の後方にある宝石山に鎮座したと伝わる。

鳥居前にある巨石はある日突然と天から降ってきた隕石で、安産祈願の石とされている。安産石で有名なのは、伯耆国一宮倭文神社。隕石だと、島根県雲南市の飯石神社

この石が天から降った時、一夜の間に山が出現したため、その山を宝石山と称したという。この石の側らに小社を建てて産石神社として崇敬されたとも。

記録によれば、奈良時代の天平6年(735年)、安芸厳島神社より、市杵島姫命田心姫命湍津姫命宗像三女神を勧請した。この時には存在していたことになる。

戦国時代は、宝石山山頂に築城された長尾城の守護神として、篤く崇敬され、現在も周辺には神主屋敷跡、神田、神主墓地や墓碑など、当社関連の遺構が残る。

大永元年(1521年)には七尾城主の行松源太兵衛から、大永3年(1523年)には出雲富田城主の尼子恒久から、寄進があったという。

また、安土桃山時代の慶長6年(1601年)、米子城主の吉川広家から寄進があり、当時は神領地も多かった。瑞光山清水寺地蔵院が別当を勤めた。

御祭神は、主祭神が阿陀加夜奴志多岐喜比売命(あだかやぬしたききひめのみこと)。別名は加夜奈流美命とも。

当地は成美地区と呼ばれているが、この地区名は奈流美に由来するとの説もある。加夜奈流美命といえば、大和国の加夜奈留美命神社飛鳥坐神社などで祀られる。

加夜奈流美命は高照姫命、あるいは下照姫命と同一神ともされる。ただし、下照姫命は大国主命と八上姫命の娘ではなく、母は多紀理毘売命である。

多岐喜比売命が榎の俣に指を挟まれた時、「私は木俣神です」と宣言したとも伝わる。ただし、木俣神は一般的に『古事記』にも記載された八上姫命の子である御井神を指す。

当社主祭神の多岐喜比売命は『古事記』に記載されておらず、八上姫命が大国主命ともうけたもう一人の子とも、御井神と同神とも考えられる。

島根県出雲市には御井神を祀る御井神社があるが、まさに当社由緒で語られた、出雲の直江(直会)後に鎮座している。

他に、下記の神々を配祀する。境内案内では、それらの神々に紹介文をつけているため、それを編集した。

・山を司り、八重垣神社の祖父神である大山祇命
熊野大社で祀られる素戔嗚命
・八幡宮の誉田別命
・因幡国一宮である宇倍神社で祀られる武内宿禰命
・初代神武天皇の皇子である八ツ耳命
伏見稲荷大社で祀られる宇迦之御魂命

当社拝殿の天井には、古曳吉種の子孫である古曳秀信(盤谷)の奉納絵が残る。

【ご利益】
安産、子宝、子育て、女性守護、地域安全
阿陀萱神社 鳥取県米子市橋本
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