室町期に伊勢外宮を奉祀、田浦御霊などを合祀、江戸中期の社殿
[住所]神奈川県横須賀市田浦町2-1
[電話]046-822-0403 - 諏訪大神社

神明社(しんめいしゃ)は、神奈川県横須賀市田浦町にある神社。近代社格では村社。田浦神明社とも。現在は諏訪大神社の兼務社である。御朱印の有無は不明。

JR横須賀線の田浦踏切に隣接して上り線の山側に鎮座する。室町時代の正長元年(1428年)に創建されたと伝えられている。御食津神(みけつのかみ)を祀った。

御食津神は、豊受比売神と同神で、伊勢の神宮(伊勢神宮)の豊受大神宮(外宮)の大神のこと。天照大神の食物を司る。

もとは田浦町5丁目にあって、明治6年(1873年)、村社に列した。大正2年(1913年)12月、下記の各社を合祀した。

・谷戸の鎮守の貴布禰神社(きふねじんじゃ。大作谷戸入口の小山田)
・浜の鎮守の御霊社(ごりょうしゃ。田浦町2丁目の向田)
・田浦村の鎮守の御伊勢山皇大神宮(田浦町4丁目の京急ガード脇の山の上)
・暗雲社(やくもしゃ。天王様を祀る。貴布禰神社の隣)

大正8年(1919年)、もと田浦御霊神社とも呼ばれた御霊社の境内である現在地に遷座し、この時、社殿を改築し、境内も広くした。

現在の拝殿は、もとの貴布禰神社(闇龗神<くらおかみのかみ>)の社殿で、本殿はもと御霊社(吉備霊<きびのみたま>)の社殿。

両社殿は、ともに江戸時代中期の天明年間(1781年-1788年)に造られた市内緑が丘の諏訪大神社の社殿だった。

明治22年(1889年)に諏訪大神社で社殿を新築したため不要となり、田浦に移された。

大正9年(1920年)9月21日、指定社となった。戦後、昭和28年(1953年)10月5日、宗教法人となった。田浦の氏神として崇敬されている。

当社が合祀した田浦御霊神社の御祭神である吉備霊について。境内案内では、吉備津彦神のことで、第7代孝霊天皇の第三皇子であり、岡山吉備津神社の御祭神であるとしている。

全く考えられない話ではないが、祀られていたのが御霊神社だったことから、京都上御霊神社の吉備真備、あるいは下御霊神社の六所御霊の和魂である吉備聖霊ではないだろうか。

どちらにしても、県内や近隣の御霊神社は、藤沢市宮前を総本社にしているか、5柱の神を祀るケースが多い中で、田浦御霊神社は特殊だとはいえる。

例祭は9月3日で例大祭。他に、1月1日が新年祭、2月節分に節分祭があり、3月3日が春祭、7月の土曜日に天王祭があって、11月23日が秋祭。

境内社に御嶽社がある。参道階段を上がった所に昭和2年奉納の、二の鳥居近くに平成4年(1992年)奉納の狛犬がある。

境内にある3本のイチョウの木は、左側にある舞楽殿が昭和2年(1927年)に落成した際、鳥居の代わりに植えられたという。

なお、当社は田浦駅の西方に鎮座するが、東方には、長浦神明社と、長浦神社とも呼ばれる別の神明社があり、当社を含め、田浦駅近辺には三つの神明社がある。

【ご利益】
五穀豊穣、家内安全、水の神、武運長久・勝運
神明社 神奈川県横須賀市田浦町
【関連記事】
神奈川県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、神奈川県に鎮座している神社の一覧