雨の宮、海神の父か娘か、八太造の地? 社殿を覆う巨大なクスノキ
速雨神社 徳島県徳島市八多町板東91
[住所]徳島県徳島市八多町板東91
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速雨神社(はやさめじんじゃ/はやあめじんじゃ、早雨神社)は、徳島県徳島市八多町板東にある神社。通称は雨の宮で、雨乞いの霊験で知られる。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 南海道神 阿波国 勝浦郡「速雨神社」に比定される式内社(小社)。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。御祭神は、豊玉比女神。海神である大綿津見神の娘で、玉依比女命は妹。山幸彦命(穂穂手見)と結婚し、鵜葺草萱不合命をもうけた。

当社の近くには、その鵜葺草萱不合命とも考えられる鵜鷲守神を祀る、やはり式内社の宇母理比古神社がある。

近接して式内二社があるのは、中央の豪族海犬飼氏の領地だったためともされる。ただし、『阿波國式社略考』では御祭神は豊玉彦命、つまり父の方としている。

鎮座地である八多は、『新撰姓氏禄』の八太造と関連があると思われ、八太造は、豊玉彦命の子である布留多摩乃命(玉依比女命)の後である。

どちらにしろ、当社のシンボルは楠(クスノキ)。現在も社殿を覆うように育っているが、この形態は延喜式の頃からとされている。分かりやすい御神木。

幹周9.51メートル、樹高20メートル。地名から、「板東の楠」とも、「八多の大楠」とも。市の天然記念物に指定されている。

大楠の前の石碑に「豊穀ノ神雨宮大樟」とある。県内の旧若宮神社の社地跡にある「加茂の大クス」には及ばないものの、2番目に数えられる大クスだという。

『阿波志』に「速雨祠 延喜式亦為小祀在八多村雨宮里水田中金龍寺管之」とあり、水田の中にあって、高野山真言宗の金龍寺が別当寺であったことがわかる。

明治8年(1875年)4月20日、村社に列した。例祭は11月1日で、秋季例大祭。

【ご利益】
祈雨・天候、海上安全、開運厄除け、縁結び、安産
速雨神社 徳島県徳島市八多町板東
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