京を勧請とも、京の本宮とも、特殊神事と見事な巨樹と社叢林
[住所]徳島県三好郡東みよし町加茂3650
[電話]0883-82-3212
鴨神社(かもじんじゃ)は、徳島県三好郡東みよし町加茂にある神社。御朱印の有無は不明。
『延喜式』巻9・10神名帳 南海道神 阿波国 美馬郡「鴨神社」に比定される式内社(小社)。近代社格では郷社。
創祀年代は不詳。社伝によれば、平安時代前期の貞観2年(860年)以前に、京都上賀茂神社から勧請され、創建された。
当社より加茂谷川上流に貴船神社、加茂内に奈良神社、澤田神社、氏神社、若宮神社、新宮神社、大田神社、片岡神社が摂社として配されており、京の本社を意識したもの。
『阿波志』には「鴨祠 延喜式小祀と為す加茂村に在り旧事紀に所謂、事代主の神孫鴨王是也、延喜式大和高市、鴨事代主神あり白川氏、宮川河原氏世々祝と為る」とある。
ただし、これは話が逆で、当社、および吉野川下流の下加茂神社こそが本宮で、京に勧請されたのではないか、というもの。
岩利大閑『道は阿波より始まる』などによるが、それによれば、当社裏山の加茂山中腹にある、全長37メートル、前期の前方後円墳の丹田古墳がある。
その古墳が阿遅鉏高日子根神の陵墓で、当社の本宮である「鴨の宮」であり、つまり山下の当社はその拝所だったという。
下加茂神社は現在、玉依姫命を御祭神としているが、本来は阿遅鉏高日子根神の母である多紀理毘売命を祀る。
多紀理毘売命の妹2柱は、いずれも近隣の式内社である横田神社(市寸島比売命)と田寸神社(多岐都比売命)で祀られている、というもの。
阿波では、阿遅鉏高日子根神の父にあたる大国主命は、大御和神社・勝占神社・八桙神社など多くで祀られている。
阿波一国で多くが説明できている利点はある。また、土佐ではあるが、何か唐突に阿遅鉏高日子根神が祀られている土佐神社があることも関係あるか。
ともかく、『百錬抄』によると、寛治4年(1090年)頃、上下の賀茂神社に対し、御供田600町あまりが寄進されたが、当地にも、その寄進された御供田があったという。
その当時にはすでに、当地は福田荘となり、上賀茂神社の社領になっていたことは間違いないようだ。
阿波藩主蜂須賀家による崇敬が特に厚く、天正年間(1573年-1593年)から明治初年(1868年)まで、毎年雷除け・武運長久の祈願を奉呈したという。
御祭神は別雷命。雷神として崇敬されるようになり、雷除けに霊験があるとされてきたようだ。
明治になり、当社境内には多くの神社が合祀された。その中には、式内社「田寸神社」の論社である山根の田寸神社、式内社「横田神社」に比定される横田神社も含まれる。
これらはいずれも旧地に復し、現在は小祠が残っている。ただし他にも、拝殿の左右に、それぞれ三社の境内社がある。右の三社は、国瑞彦神社・天神地祇社・豊受大神宮社。
国瑞彦神社には、鎮守神社・幸神社・宇賀比神社・八幡神社・若宮神社・八将神社・山塚神社・木神社・友與志神社・市坪神社・荒神社・高良神社・市杵島姫神社・熊丸鎮守神社・杉尾神社・松尾神社・毘沙門神社・古塚神社・稲荷神社・藤木神社・厳神社・若宮神社・奥森末神社・日吉神社・日之出神社・会川八幡神社の26社、一説に35社が合祀されている。
天神地祇社には、奥成山神社・熊丸山神社・谷奥山神社・秋葉神社・奈良神社・三島神社・愛宕神社・山神社・出雲神社・両皇神社・神通神社・神通龍神社・神通大山祇神社・神通愛宕神社・速大神社・妙見神社・榧森神社・天満宮・荒神社・蛭子神社・大谷山神社・井神社・境神社・金毘羅神社・伊勢神社・奥谷神社・奥森神社の27社、一説に19社が合祀されている。
現在までに、当社では、市杵島姫命・品陀和気命・天照皇大神も祀る。
江戸時代後期の画家である渡辺広芳の作といわれる三十六歌仙絵額が拝殿に掲げられている。安政4年(1857年)9月に奉納されたもの。渡辺広輝の作の可能性もある。
慶長年間(1596年-1615年)の代表的な大型鰐口も伝わる。表裏に銘文が陰刻されて、金石文資料としても貴重だという。いずれも町指定文化財。
他に、例祭の晩に「しめあげ」と呼ばれる、神主が当家へ行って「神おくり」の行事が行われている。
この神事は「神おくりの歌」を古式に則って、神主が3本の箸で土器を叩きながら歌うもので、「安鎮祭」とも。
神おくりの歌は六節からなっており、住古から代々の神主のみが受け継ぎ、当社の秘法とされていたという。町の無形民俗文化財。
巨樹の多い見事な社叢林が形成されている。アラカシの古木、クスノキ、ケヤキ、イチョウ、カゴノキ、イヌマキと多種の植物が適度に間を開けて生育している。
鳥居をくぐり、すぐ右、石段下にあるカツラの巨樹は幹周7. 92メートル。石段を登った境内には2樹のアラカシがあり、夫婦樫とも呼ばれている。加茂の大クスもある。
また、京都の葵祭も意識されているのか、フタバアオイが本殿前に石造りの鉢植えで祀られている。当社の春祭も葵祭と呼ばれ、秋祭が小祭に対し大祭。
なお、式内社「田寸神社」の論社は他に、三庄の金丸八幡神社、美馬市脇町の西照神社、三好市井川町の武大神社がある。
【ご利益】
リフレッシュ、諸願成就
【関連記事】
・徳島県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、徳島県に鎮座している神社の一覧
[電話]0883-82-3212
鴨神社(かもじんじゃ)は、徳島県三好郡東みよし町加茂にある神社。御朱印の有無は不明。
『延喜式』巻9・10神名帳 南海道神 阿波国 美馬郡「鴨神社」に比定される式内社(小社)。近代社格では郷社。
創祀年代は不詳。社伝によれば、平安時代前期の貞観2年(860年)以前に、京都上賀茂神社から勧請され、創建された。
当社より加茂谷川上流に貴船神社、加茂内に奈良神社、澤田神社、氏神社、若宮神社、新宮神社、大田神社、片岡神社が摂社として配されており、京の本社を意識したもの。
『阿波志』には「鴨祠 延喜式小祀と為す加茂村に在り旧事紀に所謂、事代主の神孫鴨王是也、延喜式大和高市、鴨事代主神あり白川氏、宮川河原氏世々祝と為る」とある。
ただし、これは話が逆で、当社、および吉野川下流の下加茂神社こそが本宮で、京に勧請されたのではないか、というもの。
岩利大閑『道は阿波より始まる』などによるが、それによれば、当社裏山の加茂山中腹にある、全長37メートル、前期の前方後円墳の丹田古墳がある。
その古墳が阿遅鉏高日子根神の陵墓で、当社の本宮である「鴨の宮」であり、つまり山下の当社はその拝所だったという。
下加茂神社は現在、玉依姫命を御祭神としているが、本来は阿遅鉏高日子根神の母である多紀理毘売命を祀る。
多紀理毘売命の妹2柱は、いずれも近隣の式内社である横田神社(市寸島比売命)と田寸神社(多岐都比売命)で祀られている、というもの。
阿波では、阿遅鉏高日子根神の父にあたる大国主命は、大御和神社・勝占神社・八桙神社など多くで祀られている。
阿波一国で多くが説明できている利点はある。また、土佐ではあるが、何か唐突に阿遅鉏高日子根神が祀られている土佐神社があることも関係あるか。
ともかく、『百錬抄』によると、寛治4年(1090年)頃、上下の賀茂神社に対し、御供田600町あまりが寄進されたが、当地にも、その寄進された御供田があったという。
その当時にはすでに、当地は福田荘となり、上賀茂神社の社領になっていたことは間違いないようだ。
阿波藩主蜂須賀家による崇敬が特に厚く、天正年間(1573年-1593年)から明治初年(1868年)まで、毎年雷除け・武運長久の祈願を奉呈したという。
御祭神は別雷命。雷神として崇敬されるようになり、雷除けに霊験があるとされてきたようだ。
明治になり、当社境内には多くの神社が合祀された。その中には、式内社「田寸神社」の論社である山根の田寸神社、式内社「横田神社」に比定される横田神社も含まれる。
これらはいずれも旧地に復し、現在は小祠が残っている。ただし他にも、拝殿の左右に、それぞれ三社の境内社がある。右の三社は、国瑞彦神社・天神地祇社・豊受大神宮社。
国瑞彦神社には、鎮守神社・幸神社・宇賀比神社・八幡神社・若宮神社・八将神社・山塚神社・木神社・友與志神社・市坪神社・荒神社・高良神社・市杵島姫神社・熊丸鎮守神社・杉尾神社・松尾神社・毘沙門神社・古塚神社・稲荷神社・藤木神社・厳神社・若宮神社・奥森末神社・日吉神社・日之出神社・会川八幡神社の26社、一説に35社が合祀されている。
天神地祇社には、奥成山神社・熊丸山神社・谷奥山神社・秋葉神社・奈良神社・三島神社・愛宕神社・山神社・出雲神社・両皇神社・神通神社・神通龍神社・神通大山祇神社・神通愛宕神社・速大神社・妙見神社・榧森神社・天満宮・荒神社・蛭子神社・大谷山神社・井神社・境神社・金毘羅神社・伊勢神社・奥谷神社・奥森神社の27社、一説に19社が合祀されている。
現在までに、当社では、市杵島姫命・品陀和気命・天照皇大神も祀る。
江戸時代後期の画家である渡辺広芳の作といわれる三十六歌仙絵額が拝殿に掲げられている。安政4年(1857年)9月に奉納されたもの。渡辺広輝の作の可能性もある。
慶長年間(1596年-1615年)の代表的な大型鰐口も伝わる。表裏に銘文が陰刻されて、金石文資料としても貴重だという。いずれも町指定文化財。
他に、例祭の晩に「しめあげ」と呼ばれる、神主が当家へ行って「神おくり」の行事が行われている。
この神事は「神おくりの歌」を古式に則って、神主が3本の箸で土器を叩きながら歌うもので、「安鎮祭」とも。
神おくりの歌は六節からなっており、住古から代々の神主のみが受け継ぎ、当社の秘法とされていたという。町の無形民俗文化財。
巨樹の多い見事な社叢林が形成されている。アラカシの古木、クスノキ、ケヤキ、イチョウ、カゴノキ、イヌマキと多種の植物が適度に間を開けて生育している。
鳥居をくぐり、すぐ右、石段下にあるカツラの巨樹は幹周7. 92メートル。石段を登った境内には2樹のアラカシがあり、夫婦樫とも呼ばれている。加茂の大クスもある。
また、京都の葵祭も意識されているのか、フタバアオイが本殿前に石造りの鉢植えで祀られている。当社の春祭も葵祭と呼ばれ、秋祭が小祭に対し大祭。
なお、式内社「田寸神社」の論社は他に、三庄の金丸八幡神社、美馬市脇町の西照神社、三好市井川町の武大神社がある。
【ご利益】
リフレッシュ、諸願成就
【関連記事】
・徳島県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、徳島県に鎮座している神社の一覧
コメント