8月例祭は獅子舞い、12月と1月の強飯儀礼「おこもり」が有名
[住所]青森県下北郡佐井村長後牛滝11
[電話]-

神明宮(しんめいぐう)は、青森県下北郡佐井村長後牛滝にある神社。牛滝神明宮とも。御朱印の有無は不明。

牛滝は、下北半島西端のほぼ中央部に位置し、陸奥湾、津軽海峡に面し、牛滝川に沿ったわずかな平坦地に集落が立地する。前沖での漁業を主生業としている。

『佐井村誌下巻』によれば、17世紀後半ごろから史料に牛滝湊の地名や村名の記録があるという。牛滝湊は田名部七湊の一つ。往時は、後述のように鯨漁が盛んだった。

当宮は牛滝の産土神である。創建年代は不詳。明治9年(1876年)編纂の『新撰陸奥国誌』には、江戸時代中期の正徳6年(1716年)の棟札があったという。

御祭神は天照大神とされる。例祭は8月16日で、地区住民による神事が行われ、若者組による神楽御輿の地区巡行と各所で行う獅子舞の門打ちが祭礼の中心となる。

当社で特に有名なのが、「おこもり(オコモリ)」と呼ばれる神事。毎年12月15日と1月15日に行われる伝統行事である。

老若を問わず地区の住人数十名が参加し、「めしっ、めしー」「しるっ、しるー」と絶叫しながら、ひたすら御飯やすまし汁などを食べ続ける奇習である。

由来は、鯨が死んで港口を塞ぎ、北前船が出入りできなくなったため、当宮に籠もり祈願した。1月15日に鯨が浮き、船の出入りができるようになった、というのが一つ。

もう一つは、不漁続きでムラが食料不足になったことがあり、漁があるように祈願のため籠もった。1月15日に鯨が寄り、それを捕ることができ、ムラが救われた、というもの。

いずれにせよ、12月15日は願掛けで、1月15日は願がかなった日であり、男が籠もっている間、女が食べるものを運んだ。それを再現したものだとされる。

この故事から、「おこもり」は大漁と無病息災をもたらすものとして毎年続けられるとともに、中断すると災いが起こるとされている。

行事は21時頃から翌日の未明にかけて行われる。まず参加者全員の前にお膳が並べられ、その年の当番となった者が「それでは箸をお取りください」との発声から始まる。

提供される料理は、御飯と豆腐のすまし汁、薇の辛子和え、沢庵漬けといった質素なもの。参加者はとにかく豪快に料理を平らげることが求められる。

行事が始まった瞬間、即座に箸を取り、お椀を携え、味わう暇もなく、ひたすら「飯」と「汁」をかきこんでいく。給仕役も「食えー」「飲めー」と叫び、参加者をせきたてる。

この行事の最も特徴的なのはこの部分で、いわゆる強飯儀礼。民俗研究の上では、古来、供物や晴れの食事として供される高盛飯などの形式が残存し変化したものと解説される。

様々な行事が残る県内でも、籠もる行事において強飯儀礼的な内容を伴う事例は、当宮のおこもり以外にないとされる。

【ご利益】
大漁満足、商売繁盛、事業成功、無病息災、身体壮健
神明宮 青森県下北郡佐井村長後牛滝
【関連記事】
青森県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、青森県に鎮座している神社の一覧