旧帷子町の鎮守、「伊勢大神宮」刻銘の「怪力石燈篭」伝承
杉山社 神奈川県横浜市保土ケ谷区西久保町118
[住所]神奈川県横浜市保土ケ谷区西久保町118
[電話]045-731-6035

杉山社(すぎやましゃ)は、神奈川県横浜市保土ケ谷区西久保町にある神社。帷子町杉山社とも。現在は瀬戸ケ谷町八幡社の兼務社ともされるが、独立した電話番号がある。御朱印の有無は不明。

創建年代は不詳。古来久保町、岩間下町西区一部の鎮守であり、『新編武蔵風土記稿』帷子町の条には「杉山社」と記載されている。杉山神社72社の一つ。

『新編武蔵風土記稿』では、式内社である杉山神社を勧請したものとしている。論社は多いが、横浜市緑区西八朔町に鎮座する杉山神社か。

また、同書では、「宿の東の方下岩間町の内にあり。海道よりは二丁ばかり巽の方にあたれり」とし、「本地は不動の坐像にして長1尺ばかりなりと云」とある。

さらに同書では、「本社八尺四方にして一間半に三間の上屋あり、前に鳥居をたつ、其前に石階あり、例祭は年々九月二十八日なり」とする。圓福寺が別当だったという。

一説によれば「古は美須神社と称へしを後、地頭の名字杉山を冠して社号を改めたり」とも伝える。

昭和3年(1928年)、国道建設のため、境内の一部が収用され、そのため昭和4年(1929年)3月、隣地に社を移し、修復した。その際、神楽殿や社務所も造営された。

御祭神は五十猛命。例祭は8月6日で夏季大祭。ちなみに、鳥居扁額には杉山社、社号標には杉山神社とある。

境内社に塩田稲荷社がある。『新編武蔵風土記稿』に当社末社として記載された「小机稲荷社」のことか。また、石仏や石の祠が多く祀られている。

また、境内の石燈篭には「伊勢大神宮」の刻銘があり、「怪力石燈篭」の伝説がある。

江戸時代後期の嘉永5年(1852年)、ある江戸の講中が、伊勢の神宮(伊勢神宮)へ石灯籠を献納しようと、牛車に積んで江戸を出発した。

品川・川崎・神奈川と無事に東海道を下ってきたが、保土ケ谷に着くなり、牛車が一歩も動かなくなってしまった。

別の牛に替えても全く進まず、結局その日は保土ケ谷泊りとなった。翌日もまた牛車は動かず、挙句の果てに、牛は当社の境内へ逃げ込んでしまった。

「これは石灯籠が伊勢へ行くのを嫌がり、この宮に納まりたいという心に相違ない」と一同相談の上、当社へ奉納することになった。

この灯籠に「伊勢大神宮」、台座に江戸講中の名が記されているのはこのためである。

【ご利益】
リフレッシュ、厄災除け、家内安全、地域安全
杉山社 神奈川県横浜市保土ケ谷区西久保町
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