熊野神社（くまのじんじゃ）は、千葉県館山市長須賀にある神社。近代社格では村社。長須賀熊野神社とも。御朱印の有無は不明。

創建年代は不詳。熊野速玉大神を主神とした社だという。御祭神は、伊弉册命・事解男命・速玉男命。社殿は直線的な作りが特徴の神明造。

現在は真言宗の宝積院と隣接しているが、もともとは現在地から西南300メートルほどの所にある来福寺の境内に鎮座してたという。

例祭は、7月14日過ぎ直近の土・日曜日。「長須賀祭礼」とも呼ばれ、町ぐるみの一大イベント。

土曜日が神輿渡御。上げたり下げたり、さしたり、勇壮で迫力があることで知られる。神輿の見事な彫刻は後藤利兵衛橘義光作。

日曜日が屋台曳き回し。屋台は子供たちにもお祭りを楽しませようと昭和30年（1955年）、町内の熱い思いと多額の浄財によって製作された。

市内でも一、二を競う大きさと、前方破風に据えられた迫力ある鳳凰が目を引く。さらに舞台が前方へとせり出す方式は新しく、当初は芸者が踊り、祭りに華を添えていた。

後に館山・仲町から伝授された「ぴっとこ踊り」が定着し、今やすっかり長須賀の文化となり、子供たちへと伝えられている。

青柳日枝神社の御神木を材料に、石井五郎棟梁、彫師後藤義孝、錺職滝川正郎による匠の技を極めた屋台は、平成17年（2005年）の改修を経て現在に至る。

大きな屋台にも関わらず、広大な町内の狭い路地の隅まで曳き回し、ひっぱり手の威勢のいい掛け声と太鼓の音を響かせる。

平群囃子用の大太鼓、江戸系囃子用の中太鼓を使い分け、多彩なお囃子で祭りを盛り上げる。

境内社に三神社がある。近代だろうか、旧長須賀村に散在してたお稲荷様、弁天様、天神様を合祀したもの。

当社入口に、砲弾を抱えた狛犬が安置されている。いわゆる砲弾狛犬で、大正8年（1919年）に奉納されたもの。

砲弾狛犬は他に、神奈川県川崎市中原区の大戸神社、川崎市川崎区大島の八幡神社、横浜市中区本牧原の吾妻神社、横浜市南区山王町の日枝神社にある。

他に、拝殿前には昭和17年に奉納された御影石製の狛犬がある。また、「村社熊野神社」と刻まれた碑がある。

境内には御神木の銀杏が一対ある。もともとは宝積院の御神木だったようで、当社殿との位置関係が微妙にずれている。

【ご利益】
家内安全、五穀豊穣、商売繁盛、学業成就

【関連記事】
・砲弾狛犬とは？ - 日露戦争（1904年-1905年）の戦勝記念、全国に五社のみ？
・千葉県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、千葉県に鎮座している神社の一覧