ちぬ=クロダイ、魚釣り愛好家の崇敬、特殊な秋祭り渡御とチヌ戎
[住所]大阪府泉南市樽井5-11-9
[電話]072-483-5041

茅渟神社(ちぬじんじゃ)は、大阪府泉南市樽井にある神社。近代社格では村社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

樽井は、往昔山より清水が湧き出たため、山の井の里・垂井とも呼ばれ、地形的に樽井は馬場の長山の続きで、台地を形成し、樹木が鬱蒼と生い茂り、水は山の井水門へ流れ落ちていた。

樽井台地の山裾はすぐ海辺にして波が打ち寄せ、西の方には男里川が流れ、海は入りこみ、自然の良港をなしていた。

初代神武天皇の東遷の際、孔舎衛坂(くさかざか)での長髄彦との戦いで、兄である彦五瀬命が負傷、戦況も劣勢にななった。

まずは海に退去し、傷を癒すために山の井水門に舟をとどめ、兵らとともに疵を洗ったところ、水が血の色になり、海に注ぎ、血の沼となった。

これが血渟となり、後に茅渟となった。「渟」は水がたまって流れない様子を表す漢字。

クロダイを「ちぬ」「チヌ」と呼ぶのは、茅渟の海、つまり現在の大阪湾で多く棲息し、魚の体形が美しく、シンボル的存在として名称がつけられたものだという。

そのため現在、つりの愛好家が供養と釣りの安全を祈願するため、遠近より参拝がある。黒鯛師なら一度は参拝したい神社としても知られる。

授与品も豊富で、「ちぬみくじ」が有名。受験に落ちない「お茅渟(おちぬ)お守り」、釣行安全お守り、魚の形をした絵馬などがある。

当社の創建は、平安時代中期とされる。現在の本殿は安土桃山時代に建立され、軒唐破風春日造り。御祭神は下記の通り。

天忍穂耳命天之菩卑能命天津日子根命活津日子根命熊野久須毘命多紀理比売命多岐都比売命市杵嶋比売命の八王子(五男三女命)、恵比寿(戎)大神、菅原道真公、神倭磐余彦命。

例祭は10月第2土・日曜日で、例大祭、秋祭り。やぐら、神輿、お稚児の順に毎年海へ行列を組む。秋祭り渡御とも呼ばれ、府内唯一の形態。やぐらの笛の音色は、全国唯一とされる。

この秋祭りは、大阪ミュージアムに登録されている。7月31日が夏祭りで、人形神事・茅の輪神事・子供を対象としたあんどん神事・神楽奉奏があり、露店が出る。

1月9-11日は十日戎のチヌ戎。福引付、吉兆・熊手・板面・ダルマ授与があり、10日14時から賞品付福餅、11日には魚供養祭が斎行される。

境内には樽井の名工・奈良利兵衛作の石灯籠がある。奈良利兵衛は、「石の左甚五郎」と呼ばれるほどの腕前をもち、幕末に活躍した名石工。

なお、当社では種河神社などを兼務している。

【ご利益】
大漁満足・商売繁盛、事業成功、家内安全(公式HP
茅渟神社 大阪府泉南市樽井
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