奈良期の勧請、浅草「靴まつり」、境内に口入稲荷神社、口入り狐
[住所]東京都台東区清川2-13-20
[電話]03-3872-3411

玉姫稲荷神社(たまひめいなりじんじゃ)は、東京都台東区清川にある神社。浅草玉姫稲荷神社とも。近代社格では村社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

奈良時代の天平宝字4年(760年)、京都の伏見稲荷大社より御分霊を勧請し、創建されたという。御祭神は宇迦之御魂命

鎌倉時代末期の正慶2年(1333年)、新田義貞が鎌倉の北条高時追討の折に当社で戦勝を祈願し、弘法大師空海直筆という稲荷大神の像を瑠璃の玉塔に奉納した。

これが「玉秘め」となり、玉姫の社号の由来となったとされている。

江戸時代の地誌『江戸砂子増補』によれば、王子稲荷神社と神縁があるとも伝わる。また、『江戸名所花暦』『江戸名所図会』などにも当社の記載がある。

江戸時代に大流行した端唄『紀伊の国』という唄で、三囲稲荷合力稲荷袖摺稲荷真崎稲荷九郎助稲荷など奥浅草一帯にある稲荷とともに、当社も登場する。

『新編武蔵風土記稿』には、御神体が狐に載っている翁の像で、例祭に際しては獅子頭が町内を渡御するなどが記載され、別当は橋場町不動院だったという。

明治5年(1872年)、村社に列した。

社殿は、明治44年(1911年)に新吉原で発生した大火や、大正12年(1923年)の関東大震災、昭和20年(1945年)3月10日の空襲によって、たびたび焼失。

現在の社殿は、昭和27年(1952年)5月に再建されたもの。現在の例祭は6月第1土・日曜日。4年に一度に大祭が行われ、本社神輿が氏子7ヶ町を渡御する。

4月最終土・日曜日には「こんこん靴市」が、11月最終土・日曜日には「靴のめぐみ祭り市」が開催される。「靴まつり」として、今や当社の看板祭典。

当社の氏子の靴メーカーが靴に感謝して行っている祭りで、当日は靴をメインに、カバン、ベルトなど皮革製品が2-8割引で販売され、好評を博している。

境内摂社に、口入稲荷神社がある。口入稲荷の拝殿前には水神宮と若宮八幡大明神の石祠もある。かつて新吉原の高田屋という口入宿にあった稲荷社だった。

江戸時代中期の安永年間(1772年-1780年)のある夜、店主が夢で「玉姫稲荷に遷すように」と告げられたため、これに従い、その年の11月20日に遷座したという。

この口入稲荷神社は、「口入り狐」で知られている。立っている狐・羽織狐(はおりきつね)と、座っている狐・裃狐(かみしもきつね)の今戸焼製の信仰品。

郷土玩具としても有名で、双方とも諸願成就のご利益があるが、特に結婚に関しては裃狐の方に効き目があるとされている。

また、拝殿の左手隅に末社の八神殿がある。下記の八社が合祀されている。

白山神社(菊理媛神伊邪那岐神伊邪那美神)・八幡神社(応神天皇神功皇后・比売大神)・八坂神社(須佐之男命)・春日神社(経津主命天児屋根命武甕槌神・比売神)・金刀比羅神社(大物主神・崇徳天皇)・松尾神社(大山咋神市杵嶋姫命)・天祖神社(天照大御神)・王子神社(宇迦之御魂神・宇気母智之神和久産巣日神)。

手水舎の脇には人気漫画・アニメ『あしたのジョー』の矢吹丈と白木葉子のパネルが設置されている。

ジョーが所属する丹下ジムは、泪橋近くにあったという設定にちなみ、近年付近の商店街では『あしたのジョー』のふるさととして、イベント開催なども行われているという。

なお、当社は時代小説『鬼平犯科帳』に登場する神社としても知られている。

【ご利益】
家内安全、商売繁盛、事業成功、武運長久・勝運
玉姫稲荷神社 東京都台東区清川
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玉姫稲荷神社 東京都台東区清川の御朱印