鞍馬寺の鎮守、京都三大奇祭の火祭、豊臣秀頼再建の割拝殿が重文
[住所]京都府京都市左京区鞍馬本町1073
[電話]075-741-1670

由岐神社(ゆきじんじゃ)は、京都府京都市左京区鞍馬本町にある神社。鞍馬寺の鎮守社で、通称は靫明神(ゆきみょうじん)。参拝すれば、御朱印を頂ける。

大己貴命少彦名命を主祭神として「由岐大明神」と総称し、八所大明神を相殿に祀る。

もとは御所に奉斎されていたが、平安時代の天慶元年(938年)に都の大地震、天慶2年(939年)には平将門の乱、いわゆる天慶の乱が発生。

相次ぐ世情不安に、当時の朱雀天皇の詔により、天慶3年(940年)9月9日、御所の北方にあたる鞍馬に地に天下泰平と万民幸福を祈念し遷宮した。

この遷宮の際、京の鴨川に生えていた葦で松明を造り、道々には篝火を焚き、神道具を先頭に行列の長さ10町(1キロ)という国家的一大儀式により御勧請されたという。

鞍馬の住民はこれに感激し、この儀式と由岐大明神の霊験を後生に伝え守ってきたのが、現在に伝わる火祭の起源である。

「靫明神」とは、天皇の病や国難の際に神前に靫(ゆき)を献じて平穏を祈ったことによる。

洛中の五条天神社は、国難の際にその責任を取って「流罪に処す」として、国の役人が神社の扉に靫を架けて閉じるということが行われていた。

『徒然草』によれば、当社でも同様のことが行われていたという。当社と五條天神社は御祭神が同じである。

その後豊臣秀吉の信仰も篤く、慶長12年(1607年)には豊臣秀頼によって本殿と拝殿が再建された。拝殿は中央に通路をとった割拝殿。

この割拝殿は、桃山時代の形式を色濃く残し、現在は国の重要文化財に指定されている。

例祭は10月22日。「鞍馬の火祭」と呼ばれ、京都三大奇祭、京都三大火祭の一つ。由岐大明神・八所大明神が2基の神輿に遷り、祭典はスタートする。

神事触れの合図「神事にまいらっしゃれ」の合図で、鞍馬の各戸に積み重ねられた篝(エジ)が一斉に点火され、幼少年が小松明を担いで練り歩く。

燃えさかる大松明を担いだ青年たちがこれに加わり、「サイレイ、サイリョウ」を繰り返して囃しながら、仲間の宿の出発の時刻などが伝達される。

その後菊・桐・蝶・葵・鳳・百足・寺の鉾や鎧を着た武者が仲間の宿から出ると、山門前には大小の松明を担いだ若者が集合して、ひしめき合う。

境内社に、火の神、竈の神として、古くからこの地に祀られている三宝荒神社、白長弁財天社、冠者社(素戔嗚命)、岩上社(事代主命大山祇命)、八幡宮社などがある。

大杉社は、願掛け杉の御神木を祀るもので、樹齢は約800年とされ、樹高は約53メートル。市指定天然記念物で、大杉の樹皮で造った「願い叶う御守」が頒布されている。

当社は拝観料不要だが、鞍馬寺の境内に鎮座するため、鞍馬寺の入場料である「愛山料」が必要である。

また、鞍馬寺山門の門内すぐの所から出ている鞍馬山鋼索鉄道に乗車すると、当社は通りすぎてしまう。登りか帰り、徒歩で行くことで当社への参拝が可能。

【ご利益】
病気平癒、病魔退散、身体壮健、厄災除け(公式HP
由岐神社 京都府京都市左京区鞍馬本町
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由岐神社 京都府京都市左京区鞍馬本町の御朱印