聖徳太子ゆかり、神宮御厨の福王山に毘沙門天を祀る、天狗伝説
[住所]三重県三重郡菰野町田口2079
[電話]059-396-1269

福王神社(ふくおうじんじゃ)は、三重県三重郡菰野町田口にある神社。御朱印の有無は不明。

国道306号線、田口集落より西へ約2キロ、福王山の山麓、杉の巨木が亭々と空にそびえる森厳の中に鎮座する。

社伝によれば、第30代敏達天皇6年(576年)、百済より経文、僧、仏工を献上の折、来朝した仏師安阿弥が勅を受けて毘沙門天を刻んだという。

後に聖徳太子の命により福王山にその毘沙門天を安置し、国の鎮護と伊勢の神宮(伊勢神宮)の守りとしたと伝える。

田口地区は、もとは伊勢神宮の神領地で「田口御厨」だったとされる。伊勢神宮とはゆかりが深く、社殿の守護神もその縁によるものと考えられる。

田口の集落には、神明社(天照大神)、八幡社(応神天皇)、稲荷社(倉稲魂神)、弁天社(市杵島姫命)、山神社(大山祇神)などが鎮座する。

その中に、集落の南には、当社の飛地境内社である穂積神社が鎮座する。穂積氏が祖神である饒速日命を祀ったもの。

この穂積神社は、『延喜式神名帳』にある「穂積神社(伊勢国・朝明郡)」に比定される式内社(小社)の論社。他の論社に、四日市市広永町に同社および式内同名神社がある。

当社そのものの御祭神は、毘沙門天。一名を多聞天ともいう。また、現在までに聖徳太子も祀られている。

もとの毘沙門堂は元桑名京町の北側、職人町にあったという。慶長年間(1596年-1615年)、桑名が町割りの時、当地へ移されたと伝わる。

福王山はまた、天狗信仰にまつわる伝説の多いところで、頂上はかなり広い平坦なところがあって、里人はそこを「天狗の踊り小場」と呼んでいる。

昔、堂付近を通ると、天狗が危害を加えるといって恐れたため、桑名藩主松平定綱はこれを憂い、付近の木を多く伐りはらった。

そうしたところ、何の障りもなく、その後は木こりも通れるようになったという。この福王山は桑名藩のご用林となり、杉、もみが植林された。

藩の山番小屋が設けられ、その跡が長助屋敷として名が残っている。現在は国有林として営林署の所管になり、杉の造林が盛んに行われ、美林となっている。

桑名藩ご用林当時は保護されて杉、もみの巨木が福王山一帯にあったが度々の山火事によって焼失した。

現在、境内に残っているもので、大子杉と呼ばれる樹齢1000年ともされる巨杉がある。境内入口近くに、天狗杉と呼ばれた大木があったが、枯れて今はない。

当社の玄関にあたる田口のバス停前には、文政年間(1818年-1831年)建造の石造の燈籠と唐獅子、各々2基あり、大正年間(1912年-1926年)建造の大鳥居は見事なもの。

本殿を右側から回り込み、600メートルほど進むと奥の院がある。

例祭は、4月第2土・日曜日。年に一度の毘沙門天の御開帳が行われる。また、毎月3のつく日が縁日で、3日・13日・23日は賑わうという。

2月3日には節分祭があり、厄除けの福豆や甘酒が無料で振る舞われる。

【ご利益】
厄災除け、開運招福、家内安全、一族・子孫繁栄
福王神社 三重県三重郡菰野町田口
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