伊勢の長井御厨、片葉の葦で知られる、「大井湯用水の掛樋」も
[住所]三重県三重郡菰野町大字永井338
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井手神社(いでじんじゃ)は、三重県三重郡菰野町永井にある神社。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「井手神社(伊勢国・朝明郡)」に比定される式内社(小社)。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。御祭神は大日霊貴尊とされるが、本来は罔象女神水分神埴安姫神など水の神が祀られたという。田地の中に浮かぶ陸の島のように鎮座。

当地は古来より長井御厨として伊勢の神宮(伊勢神宮)と縁が深い。伊勢の国は永井(ながい)の里、井手(いで)のお宮などと呼ばれる。

明治6年(1873年)3月、村社に列し、明治39年(1906年)12月、神饌幣帛料供進社に指定された。

片葉の葦で知られる。当社付近は昔、一面の沼地で、村民の憩いの場になっていたという。

冬になると、この沼に雁が渡って来て、村民はその鳴き声を聞くと正月の準備を始めたという。

春になると、雁は生まれ故郷に戻っていくが、ふとその帰りが心配になった。もとより遠く、道に迷う可能性もあったからだ。

雁たちは井手のお宮の神様に「葦の葉を私どもに一枚ずつください」と相談した。

神様が「なぜじゃ」と聞くと、「北の国へ帰る途中、疲れたら葦の葉を海に浮かべ、その上で羽根を休めたい」と雁たちは答えた。

神様はその理由を聞いて納得し、葦の葉を一枚ずつ持って行くことを了承したが、条件を付けた。

「葦の葉を全部とってはならん。枯らしてはならんからな。片側の葉だけは残しておくように」。

その言いつけを守って雁たちは葦の葉をもらい受け、北の国に帰っていったという。これが片葉の葦の由来。

また、当社入口に「大井湯用水の掛樋」が移設されている。川の上をまたぐ高架水路のこと。

当地の先人が、田の水と生活の水を確保するため、元禄12年(1699年)に完成させたもの。

幅1.3メートル、深さ0.67メートル、長さ5.67メートル。解体保存されるまで、約300年間、当地の水を守ってきた。

現在までに、武甕槌命誉田別命を合祀している。例祭は10月10日。

【ご利益】
五穀豊穣、身体壮健、地域安全
井手神社 三重県三重郡菰野町永井
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