義経を追った静御前が一夜を過ごした伝承、都内屈指の大太鼓
[住所]東京都世田谷区桜丘2-29-3
[電話]03-3428-3838

稲荷森稲荷神社(とうかもりいなりじんじゃ)は、東京都世田谷区桜丘にある神社。現在は、神社本庁に属さない単立神社である。参拝すれば、御朱印を頂ける。

創祀・創建年代は不詳。御祭神は稲倉魂神。本社は、京都の伏見稲荷大社としている。

しかし、昭和28年(1953年)頃まで、当社のすぐ側に湧水池があった。品川用水を別として、川もなく田のない当地にとって、貴重な水源だったという。

『新編武蔵風土記稿』世田谷村の項に、稲荷社「除地8畝歩」と見える。また、菅刈社に比定する説もある。庄名を社号に冠した当社は古い社だろう、としている。

奥州に落ちた源義経を追って来た静御前が、当社で一夜を明かした、とする古老らによる伝承が残る。であれば、草創は平安時代末期まで遡ることになる。

旧社殿は寛政年間(1789年-1800年)に造営されたもの。棟札にも「嘉永三庚歳」、つまり嘉永3年(1850年)建造した旨が記してあるという。

その後も数度にわたり修繕された。現社殿は昭和44年(1969年)に造営されたもの。旧社殿は神輿庫に改造され、本殿内宮は境内末社として祀られている。

また、境内の一隅に存する庚申碑には、江戸時代前期の延宝(1673年-1681年)の年号を見ることができる。

境内は、もとはうっそうとした森で、樹令300年-400年を数える杉の御神木もあり、黒駒街道に面し、道中往来の人の崇敬を集めた。

特に雨を凌ぎ暖をとるのに絶好な神域であったと伝えられている。雨が降っても境内に入ると傘はいらない、といわれ、「稲荷森(とうかんもり)」の社号が定着した。

今なお当時往来の馬追い連中から寄進された向い獅子が現存する。また今日著名な世田谷ボロ市も当社に起因するという。

明治初年に8畝の社地も大半を失ない、また明治40年(1907年)に世田谷八幡宮への合祀の議が起こったが、氏子有志が結束して現状を維持したとしいう。

例祭は10月第2土・日曜日。例大祭では神輿渡御がある。「安宅囃子」が伝承されている。

夜には、奉納芸能があり、最後に世田谷の餅搗唄が歌われる中、餅が搗かれ、投餅が行われる。

神輿庫には直径約2メートル・重量2トンという大太鼓「あ・ん太鼓」が保管されている。

昭和55年(1980年)に結成された「横根睦」の有志が、約4年かけて古紙回収を行った資金と寄付金で製作、奉納された。

新調当時は全国で三番目の大きさで、現在でも東京23区内では最大とされる。他に都を代表する太鼓としては、大國魂神社荻窪白山神社のものがある。

この大太鼓は当社例大祭はもちろん、8月に開催される世田谷区民祭でも披露される。

【ご利益】
五穀豊穣、商売繁盛、事業成功、家内安全(公式HP
稲荷森稲荷神社 東京都世田谷区桜丘
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