近世からは八王子神社、染色技術集団の赤染氏・常世連の本拠
常世岐姫神社 大阪府八尾市神宮寺5-173
[住所]大阪府八尾市神宮寺5-173
[電話]072-943-7059 - 恩智神社

常世岐姫神社(とこよきひめじんじゃ/とこよぎひめじんじゃ)は、大阪府八尾市神宮寺にある神社。旧称の八王子神社の方が浸透している。埼玉県内などにある常世岐姫神社の本宮。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 畿内神 河内国 大県郡「常世岐姫神社」に比定される式内社(小社)。近代社格では村社。

当地は古代に帰化したと思われる染色技術者集団(品部)の赤染部(あかそめべ)の本拠地だという。

赤染とは、茜染めのことで、赤染氏が伴造としてこれらを管理していたという。

時代は下るが、『吾妻鑑』によれば、鎌倉時代にも当地の人々が幕府から「河内国藍御作手(あいみつくて)奉行」に任じられ、染色技術を諸国で指導したという。

『日本書紀』によれば、伴造の赤染氏、姓(かばね)は造姓の一族には、壬申の乱で活躍した赤染造徳足などがいる。

当地については、奈良時代の宝亀8年(777年)夏、正六位上の赤染人足ら13人が常世連(とこよのむらじ)を賜姓されたという記録がある。

『新撰姓氏録』河内国諸蕃に「常世連。燕の国王、公孫淵の後なり」と記されており、当地を燕の公孫氏の流れを汲むと称する帰化人が本貫としていた。

またその子孫が茜染めをしていたとも伝わっているので、赤染氏(常世氏)が祖神を祀ったものと推定できる。

御祭神は、常世氏の祖神である常世岐姫命。創祀年代は不詳。平安時代の貞観9年(867年)、官社に預かった。

赤染氏は、豊前国の香春神社の祭祀を司った氏族だともされ、宇佐八幡宮の創建にも関わった。

宇佐神宮の道士に道鏡を奉納じたのは香春の新羅系氏族の赤染氏で、その斎祀る神は辛國息長大姫大目命だという。

常世岐姫命は不詳だが、辛國息長大姫大目命と同神か。とにかく、単に染色技術だけではなく、精銅技術にも通じていた氏族だったともいう。

近世には、神宮寺村は北隣の高安郡恩智村とともに恩智神社の氏地だった。

恩智神社は中世末に牛頭天王を勧請しており、それに関連して、当社が牛頭天王の8柱の御子神を祀る八王子社といわれた。

『河内名所図会』にも、「今、八王子と称する」と記されている。現在は安産の神として知られている。例祭は10月23日で、秋祭。

当社から勧請された分社は、主に埼玉県に集中しており、行田市荒木、深谷市樫合などにある。

上述のように、当社があまり表だって正式社号を主張しないこともあり、現在、一般に「常世岐姫神社」と言えば、行田市荒木の神社を指すことが多い。

行田市荒木の神社は特に、荒木常世岐姫神社と呼ばれることがある。

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常世岐姫神社 大阪府八尾市神宮寺
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