小竹宮、和泉国府、珍之宮の跡とも、信太の森の疫病除けの神
舊府神社 大阪府和泉市尾井198
[住所]大阪府和泉市尾井198
[電話]0725-41-7433

舊府神社(ふるふじんじゃ)は、大阪府和泉市尾井にある神社。御祭神は素盞嗚命御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 畿内神 和泉国 和泉郡「旧府神社」に比定される式内社(小社、鍬)。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。『日本三代実録』に貞観元年(859年)5月7日、和泉国旧府神列於官社。同8月13日、和泉国無位旧府神授正五位下とある。

特徴的な社号、「舊府/旧府」の由来については諸説ある。『大阪府全志』によれば、『日本書紀』神功皇后の段に出てくる小竹宮の旧跡としている。

小竹宮(しののみや)は、神功皇后が忍熊王との戦いにおいて、紀伊国で滞在した地であり、「阿豆那比の罪」とその天変地異に遭遇した地。

小竹祝と天野祝を同じ墓に埋葬したために、昼なのに夜のように暗くなった。これを改葬して、ようやく昼と夜が分かれた、という。

小竹祝は小竹宮の、天野祝は丹生都比売神社の祝のこととされる。小竹宮の他の伝承地に、和歌山県の御坊市に小竹八幡神社、紀の川市に志野神社、奈良県五條市に波宝神社がある。

ただし、丹生都比売神社とは近かったことが考えられ、和歌山県の二つが有力か。また、改葬されたことに関する伝承が大阪府和泉市の丸笠神社に残る。

また、当地は和泉国府の所在地であり、国府はその後現在の府中町に移ったともいう。当社号はもとの国府の地、という意とも。

和泉宮とも呼ばれ、同じ信太郷内の上町遺跡がその跡地とされる元正天皇の離宮であった珍之宮(ちぬのみや)が社号の由来とも。

どちらにしろ、和泉国府や紀伊国、熊野詣でなどに赴く際、いわゆる「信太の森」を縦貫、通過するための旧街道付近に位置したため、崇敬された。

江戸期には牛頭天王社とも称された。明治5年(1872年)、村社に列したが、大正4年(1915年)6月23日、葛之葉町の信太森葛葉稲荷神社に合祀された。

ただし、翌年にはもとの地に復社している。古来疫病を防ぐ神、長寿繁栄の霊験あらたかな神として、広く一般の信仰を集めているという。

境内には、若宮社「白狐化石」がある。御祭神は葛葉姫。猟師に追われた白虎が猟師から逃げるため化けた(隠れた)石だという。

この石はもとは小栗街道(熊野街道)にあったが、昭和22年(1947年)に移され、当社境内で祀られた。

現在、当社は信太森葛葉稲荷神社の飛地境内社となっている。

【ご利益】
厄災除け、病魔退散、健康長寿
舊府神社 大阪府和泉市尾井
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