『常陸国風土記』記載の大井、湧泉が神格化、当屋祭やささら
[住所]茨城県日立市水木町2-22-1
[電話]0294-52-4225

泉神社(いずみじんじゃ)は、茨城県日立市水木町にある神社。JR常磐線大甕駅の北東約1キロの地に鎮座する。参拝すれば、御朱印を頂ける。

延喜式』巻9・10神名帳 東海道神 常陸国 久慈郡「天速玉姫命神社」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では郷社。

境内の泉ヶ森は『常陸国風土記』久慈郡の条にある「密筑の里の大井」に比定され、県の史跡に指定されている。

泉ヶ森北東部には、周長約40メートル、最大水深約2メートルの湧泉があり、すり鉢のように池の中心に向かって急に深くなり、大小20余の泉穴がある。

第10代崇神天皇の時代、あるいはその49年の創建と伝わるが、否定的な見解もある。

社記に「上古霊玉此地に天降り 霊水湧騰して泉をなす 号けて泉川云ひ霊玉を以て神体とする」とある。

久自国造船瀬宿禰の奏請により、大臣伊香色雄が勅命を受けて久自国に至り、天速玉姫命を祭祀し、久自国の総鎮守とした、という。

御祭神は天速玉姫命(あまのはやたまひめのみこと)。記紀には見えない神で、天棚機姫神(棚機姫命)の娘で、天太玉命の后神、天比理刀咩命とも。

御祭神名の「速玉」は清泉の美称であり、大井という湧泉が神格化されたものと考えられている。

『日本三代実録』では「姫」の字がない「天速玉神」について言及があるが、『式内社調査報告』などではそれらを同神としてよい、としている。

天速玉神は平安時代の貞観8年(866年)・貞観16年(874年)に神階を授かっている。

現存する棟札によれば、戦国時代の享禄3年(1530年)に佐竹義篤が社殿を修理し、社号を泉大明神に改めたとされる。

永禄3年(1560年)には佐竹義昭が社殿の葺替えをし、江戸時代には水戸藩の保護下で寛延3年(1750年)6月26日に造営が行われた。

その後、享和年間(1801年-1804年)に社殿が焼失、文化年間(1804年-18018年)に再建された。

明治維新後、明治6年(1873年)4月、郷社に列した。

昭和35年(1960年)に再び社殿が焼失し、昭和36年(1961年)に仮社殿が建築された。

境内社に、厳島神社(市寸島比売命)、三峯神社(伊弉諾神伊弉冉神)、鷺杜神社(天玉柱屋姫命)、富士神社(木花開邪姫命)、豊稔神社(月讀命大穴牟遅命)、稲荷神社(宇迦之御魂大神)がある。

例祭は5月3日。2月21日が春祭で祈念祭が行われる。旧暦2月12日-14日、現在は3月第2土・日曜日には当屋祭(當屋祭)が執行される。

御祭神の御分霊を町内持ち回りで各自の家に奉斎し、家内安全と無病息災を祈願する。

獅子頭を被った3人の舞手がお囃子に合わせて舞う民俗芸能で、県指定無形民俗文化財の「日立のささら」が伝承されている。

なお、式内社「天速玉姫命神社」の論社は他に、常陸太田市春友町の鹿島神社がある。

【ご利益】
五穀豊穣、健康長寿、家内安全、無病息災(公式HP
泉神社 茨城県日立市水木町
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泉神社 茨城県日立市水木町の御朱印