室町期の勧請、オフィスビルと一体化した社殿、「はしか」天神
[住所]東京都渋谷区神南1-4-1
[電話]03-3461-2971

北谷稲荷神社(きたやいなりじんじゃ)は、東京都渋谷区神南にある神社。近代社格では村社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

西側の渋谷公園通りと東側のファイヤー通りに挟まれ、近隣はNHK放送センターや区役所などの公共施設、ファッション関連の商業施設などが数多く建ち並ぶ。

室町時代の文明年間(1469年-1486年)、渋谷村名主長吉の祖である讃岐太郎直高が、駿河から移ってきた際、その邸内の艮の方角に勧請したのが創祀。

御祭神は、宇迦之霊大神大己貴大神大宮比売大神神功皇后・大田大神。稲荷としては、神功皇后が異例。後の合祀か。

大田大神を猿田彦命と同一視、あるいは類縁と考えれば、稲荷四神とおよそ相対応することになる。社号の北谷は、当地の古い地名。

江戸時代前期の承応3年(1654年)8月、再造の記録があり、万治2年(1659年)には江戸山王社家小川職部の持となった。

万治3年(1660年)に大破して再建した際の棟札に、渋谷村総鎮守とある。上渋谷村・上豊澤村のことで、渋谷一帯を指す。

江戸時代中期の宝永5年(1708年)、享保13年(1728年)、明和8年(1771年)にも造営された。朱印社領は10町あまりだったという。

平成9年(1997年)、菊竹清訓建築設計事務所によるデザインの社殿が竣工し、オフィスビルと一体感のある、モダンな外観となった。

社務所は従来のイメージで訪れたら間違いなく面食らう。鳥居も特徴的なデザインだが、これはこの社殿に合わせたものではなく、日月鳥居。

このように、現代的な境内にあっても、昔ながらのおみくじが置いてあるなど、古来の神社風景とのギャップも楽しめる。

例祭は9月28日。秋季例大祭で、現在は9月中旬から下旬にかけての日曜日などに神輿渡御がある。女神輿もある。急な階段を登って宮入りする。

境内には、明治42年(1909年)に練兵場を設置した際、農民が建てた石碑や、大正9年(1920年)の宇田川の洪水の後に建てられた治水記念碑が残されている。

境内社に、稲荷社、龍神社がある。また、『新編武蔵風土記稿』には末社天満宮の記載もある。

土師家天満宮と号した。菅神の本姓を冠したのだが、後に「はしか」に転じ、麻疹の平癒のご利益があるとされた。疱瘡神。

安永5年(1776年)、享和3年(1803年)にはしかが流行した際の参詣が多かったと伝わり、文政7年(1824年)は特に参拝者が群集したと伝わる。

【ご利益】
商売繁盛、技芸・スポーツ上達、病気平癒
北谷稲荷神社 東京都渋谷区神南
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北谷稲荷神社 東京都渋谷区神南の御朱印