単なる隠岐の地主神ではない、因幡の白兎の氏神? 霊験神
比奈麻治比売命神社 島根県隠岐郡西ノ島町宇賀888
[住所]島根県隠岐郡西ノ島町宇賀888
[電話]-

比奈麻治比売命神社(ひなまじひめのみことじんじゃ)は、島根県隠岐郡西ノ島町宇賀にある神社。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 山陰道神 隠岐国 知夫郡「比奈麻治比売命神社」に比定される式内社(小社)。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。御祭神は濟大明神とも呼ばれる比奈麻治比売命。濟さん、済さんと親しまれている。活玉依姫の別号ともされるが、否定的な見解も多い。

比奈麻治比売命については、興味深い伝承がある。現在の海士町の宇受賀命が、その美しさに惚れて、大山神社の御祭神と姫の争奪戦を繰り広げた。

宇受賀命が勝利し、比奈麻治比売命と結ばれ、柳井姫(やないひめ)をもうけた。柳井姫は、奈伎良比売神社の御祭神となった。

平安時代の延暦18年(799年)、渤海使内蔵宿禰賀茂麻呂などが帰国の途次、当社御祭神の神助を受けたため、朝廷へ報告され、隠岐国初の官社に預かったという。

次いで、承和5年(838年)には従五位下、貞観13年(871年)には正五位下、元慶2年(878年)には正五位上へと叙され、霊験の著しい神社として知られた。

記紀には見られない地主神としては、異例の神階昇叙と呼べるかもしれない。しかし、現在、比奈麻治比売命は単なる地主神ではないのではないか、とする説もある。

例えば、福岡市博多区の櫛田神社の境内社である二十二社でも祀られているなど、北九州を中心に、比奈麻治比売命を祀る神社や、関連伝承が多くみられる。

出雲大社との関連も指摘され、現在、『古事記』の中の「因幡の白兎」に登場するウサギは、比奈麻冶比売命を氏神とした民族だった、ともされる。

鳥居の額には、「濟神社」とある。寸大明神とも称された。濟(すん)とは、旧社地の名称で、現在地から山中に4キロほどの地点にある。

西ノ島としても東北の最果ての地で、人家は一切なく、かつて開拓されたらしい跡もない。当社御祭神が霊験あらたかな霊験神であることを証明しているという。

とは言っても、参拝に不便だったため、江戸時代後期の安政2年(1855年)に現社地に移された。しかし、明治13年(1880年)にはまたもとに戻された。

しかしやはり、昭和3年(1928年)に再度、現社地に移した。その際は、里宮建立という名目だったため、旧地にも神社跡が残る。当社の例祭は7月28日。

【ご利益】
水難除け、航海・海上安全、安産、子育て
比奈麻治比売命神社 島根県隠岐郡西ノ島町宇賀
【関連記事】
島根県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、島根県に鎮座している神社の一覧