平安初期の創立、眼病やコレラ封じの清水八幡、松島遊郭稲荷
[住所]奈良県香芝市今泉592
[電話]0745-77-5069

志都美神社(しずみじんじゃ)は、奈良県香芝市今泉にある神社。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「志都美神社(大和国・葛下郡)」に比定される式内社(小社)。近代社格では村社。

武烈天皇陵に比定される小丘の南東に鎮座する。陵の樹叢と一体になった社叢は、見事な林相が形成されており、県の天然記念物に指定されている。
『万葉集』巻7 1099
片岡の この向つ峰に 椎蒔かば 今年の夏の 蔭にならむか
平安時代初期の弘仁4年(813年)、藤原鎌足の四世孫である従四位民部少輔片岡綱利により片岡家の鎮守として創立したという。

現在までに御祭神は天児屋根命誉田別命中筒男命。俗に清水八幡宮・志都美八幡宮・清水三社大明神などとも。

社伝によれば、より古くは、鹿葦津姫命を鎮祭したという。シズヒメ明神とも呼ばれたから、女神の何らかの痕跡が残っていたのだろう。

戦国時代の天文22年(1553年)3月、右大臣三条西公条と連歌師里村紹巴が高野山・吉野からの帰途、当社の神宮寺「片岡清水明王院」に宿泊したと『吉野詣記』にある。

江戸時代前期の元禄年間(1688年-1704年)、盲目の僧侶が境内で湧いていた清水で目を洗って霊験があったとの伝承がある。

神宮寺は明治の神仏分離で廃寺となったが、鎌倉時代の作風を遺す「石造浮彫不動明王立像」は近くの念通寺に移された。現在は、市指定文化財。

例祭は9月9日で、高村・上中・三角・下寺・今泉・畑ノ浦・朝日ヶ丘が氏子地域。宮座はなく、宮議員が各々の地域から出される。だんじりが出て、境内には縁日などで賑わう。

社殿は、三間社流造銅板葺。拝殿は唐破風の向拝を持つ。桟瓦葺。本殿裏手に禁足地がある。その鳥居額には、神籬之社とある。

境内社に、祓戸大神(瀬織津姫命・速秋津姫命・伊吹戸主命・速佐須良姫命)、天照皇大神(天照皇大神豊宇気比売命)、奥之稲荷社、稲荷大神(いずれも宇賀ノ御霊)がある。

また、大阪松島郭とある稲荷社もある。大阪市西区九条にあった松島遊郭で祀られていた稲荷を勧請したものか。

明治13年(1880年)8月にコレラの流行防止祈願で、一人の患者も出なかったことを感謝した記念碑がある。

江戸時代後期から流入したコレラは当時猛威を振るい、死者数万人を生じたともされるが、一人の患者も、死者も出すことなかったその神威は絶大。

なお、現在は式内社である火幡神社などを兼務している。

【ご利益】
病気平癒、健康長寿、厄災除け、安産
志都美神社 奈良県香芝市今泉
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