逢坂集落西部、樹齢1000年超のハクトウと亀石、複数の神像・狛犬
[住所]奈良県香芝市逢坂5
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大坂山口神社(おおさかやまぐちじんじゃ)は、奈良県香芝市逢坂にある神社。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「大坂山口神社(大和国・葛下郡)」に比定される式内社(大社、月次新嘗)の論社。近代社格では村社。

逢坂集落西部に鎮座する。創建年代は不詳。南西約600-800メートルの市内穴虫にも同名神社があり、式内論社。

『日本書紀』第10代崇神天皇9年3月15日条、同4月16日条に、黒盾八枚・黒矛八竿をもって「大坂神」を祀らせたとあるが、これは式内社「大坂山口神社」とは別だという。

同時に記載されている「墨坂神」については、宇陀市榛原萩原に墨坂神社がある。また、大和国と河内国を結ぶ交通の要衝であるため、他にも記紀に大坂の山口は出てくる。

式内社「大坂山口神社」は、『日本三代実録』天安3年(859年)1月27日条に、従五位下より正五位下に昇叙、貞観元年9月8日には風雨祈願のため奉幣があったという。

神名帳の他に、『延喜式』巻3「臨時祭」祈雨神祭条に「大坂山口社一座」とあり、祈雨神祭85座に含まれる。祈年祭には馬一匹を加えられた。

大和国の式内社で山口の社名を有する14の神社、いわゆる大和国十四所山口神社の一つで、本来の御祭神は大山祇命だと思われる。

近世には、牛頭天王社・祇園宮と称し、明治期の『神社明細帳』には御祭神は、天児屋根命武速須佐之男命稲倉魂命とある。

現在は、大山衹命・素盞鳴尊・神大市比売命としている。例祭は10月10日で秋季大祭。春祭が3月1日に行われる。

社蔵の室町時代末期の宮座文書に「ヤマノクチヘ一セン」とあるが、「ヤマノクチ」は未詳。

本殿は三間社流造・桧皮葺。室町期の様式で永禄3年(1560年)の再建後、寛永6年(1666年)など江戸期までたびたび補修を受けながらもよく古式を残している。現在は、県指定文化財。

その本殿で祀られている神像は、木造男神坐像、木造女神坐像をはじめ11体あり、鎌倉時代から江戸時代まで、長い期間にわたって作られ続けたもの。

また、平安時代末期から江戸時代にかけての、八体の狛犬も伝わる。先の宮座文書を含め、これら神像や宝物も現在は市指定文化財。

本殿と拝殿の中間に、周囲4.5メートル、樹齢千数百年とされるハクトウの大樹があり、その横には亀形の巨石がある。

逢坂の民家の庭内に大坂直の墓という凝灰岩製の古層塔があり、大坂直は当社祝部と伝えている。

同形式の塔が香芝市下田東の法楽寺跡にもある。当寺東隣の浄土真宗本願寺派西念寺は当社にあったという石造神像と境内薬師堂本尊・伝薬師如来像を安置している。

当社東隣の畑の角に「神さん井戸」と呼ばれていた井戸があったが、今は埋没している。

【ご利益】
厄災除け、学業・受験合格、五穀豊穣
大坂山口神社 奈良県香芝市逢坂
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