崇道天皇社（すどうてんのうしゃ）は、奈良県奈良市西紀寺町にある神社。近代社格では村社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

平城天皇の大同元年（806年）の草創と伝わる。御祭神は早良親王。

天応元年（781年）、皇太子となったが、藤原種継暗殺に連座した疑いを受け延暦4年（785年）に廃嫡された。

淡路国に配流の途上、49歳で薨去。淡路国で葬られたが、怨霊を鎮めるために崇道天皇の諡号を追贈し、御骨は大和国八島陵に改葬された。

当社は紀寺天王とも呼ばれ、かつては璉珹寺（紀寺）の鎮守として祀られた。紀寺東北に鎮座し、薬師堂町の御霊神社とともに南都二大御霊社とされる。

また、当社と同じ年に創建された神社に、南都鏡神社がある。同じく、当時脅威と考えられた藤原広嗣の怨霊を祀る社。

五條市の藤井家に蔵される長禄2年（1458年）の『霊安寺御霊大明神略縁起私記』にも記載され、南都八所御霊の一座として御霊会が行われた。

『大乗院寺社雑事記』応仁2年（1468年）10月15日条には、春日大社の末社であり、本地は弥勒菩薩であると記されている。

国の重要文化財である本殿は、安土桃山時代の天正14年（1586年）に建立された春日大社若宮神社の本殿を、江戸時代前期の元和9年（1623年）に移建したもの。

いわゆる「春日移し」。現在は南面するが、明治8年（1875年）までは鳥居、表門をくぐると真正面の向き、すなわち西向きだった。

神楽殿は安政2年（1855年）の再興で、斎館は昭和15年（1940年）の竣工。神輿庫には享保2年（1717年）ごろ修理された古い神輿があり、秋祭礼に用いられる。

境内社に、祓戸社（瀬織津比売神・気吸戸主神・速開都比売神・速佐須良比売神）、天満宮（菅原道真公）、稲荷社（宇賀御魂神）がある。

この他、1520平方メートルほどの広い境内には、春日見の腰掛石やあちこちに巨木が残っている。

他に社宝として、猿田彦面・猩々面・獅子頭面などが伝わる。例祭は10月15日。

早良親王の悲惨な最期から、怨念漂う奈良県の心霊スポットとしても知られている。なお、市内には、御陵の八島陵を中心として、複数の同名・類似神社がある。

八島陵中心部に祀られていた崇道天皇社は明治19年（1886年）に嶋田神社と合祀。他に、出屋敷町・神殿町・北永井町に崇道天皇神社がある。

【ご利益】
諸願成就

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