天台宗寺院の鎮守社、重文の本殿や立派な社殿の境内社、5月に例祭
[住所]滋賀県大津市和邇中146
[電話]077-594-3858

天皇神社(てんのうじんじゃ)は、滋賀県大津市和邇中にある神社。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「小野神社二座(近江国・滋賀郡)」に比定される式内社(名神大社)の論社。近代社格は村社。

社伝によると、村上天皇の康保3年(966年)、和邇荘が崇福寺領であった時に京都八坂の祇園牛頭天王を奉遷して、和邇牛頭天王社と称したと伝えられる。

これが創祀であれば、『延喜式神名帳』の後ということになり、式内社たりえない。ともかく、御祭神は素盞鳴尊

当初は天台宗寺院の鎮守社だったというが、後に旧志賀町和邇地区の鎮守社となった。

現在の本殿は鎌倉時代末期の正中元年(1324年)、改築と伝わっている。県内に3棟しかない切妻造の本殿で、現在は国の重要文化財に指定されている。

他の2棟は、小野神社の境内社である小野篁神社と、境外社である小野道風神社。奇しくも、式内社「小野神社」の他の論社である小野神社、小野道風神社と重なる。

当社を小野天皇社とする資料もあるようで、立地条件から考えても、当社、小野神社、小野篁神社、小野道風神社には何らかのつながりがあると見る向きもある。

明治9年(1876年)、現社号に改称して村社に列した。ただ、現社号が明治初期に認められたかどうか不明で、この際は、「天王神社」だったのではないだろうか。

例祭は5月8日で、古式祭。卯ノ刻に斎行される南浜よりの神輿入れ、続いて南浜の御供、中浜の御供の奉幣祭、午後の湖岸御旅所まで、5基の神輿による神幸祭。

境内社に樹下神社(鴨玉依媛命)がある。中世、比叡山延暦寺の勢力が増大した際、ほとんど強制的に日吉山王の神を祀らされたものだという。

鎌倉時代末期の正中2年(1325)、日吉十禅師社の御分霊を奉遷。現社殿は、江戸時代後期の元禄3年(1690年)の改築だという。明治になり、十禅師社から樹下神社に改称した。

他に、若宮神社(大山咋命)、三宮神社(鴨玉依媛命荒御魂)、松尾神社、大国主神社がある。いずれも歴史ある社殿を有す。

鎌倉時代のレア作品と評される二基の宝塔がある。天台宗との強いつながりがうかがえる。

境内には天皇神社古墳がある。和邇川左岸の段丘上に営まれた古墳群。1号墳は本殿背後の傾斜地に6世紀後半、築かれた円墳である。

【ご利益】
厄災除け、病魔退散
天皇神社 滋賀県大津市和邇中
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