式内「武水別神社」の論社、お種池とブナ林、豊富な水源の守護神
[住所]長野県長野市大岡丙5405-2
[電話]026-266-2121

樋知大神社(ひじりだいじんじゃ)は、長野県長野市大岡にある神社。聖山高原県立自然公園のごんげん湖の近く。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 東山道神 信濃国 更級郡「武水別神社」に比定される式内社(名神大社)の論社。ただし、『延喜式臨時祭』「名神祭」には掲載されていない。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。御祭神は武水別命。式内社名通りだが、一方で、水波の命(みくもりのみこと)・倉稲魂の命とも。

また、水波の命と同神だと思われるが、水波女命とも。武水別命も天之水分神国之水分神の系統とされ、どちらにしろ水の神。境内のお種池との関わりも指摘される。

武水別命を諏訪大明神建御名方刀美命の第二の御子とするのも特徴。諏訪御子神13柱の中の出早雄命に比定される。

式内社「武水別神社」の国史での初見は貞観8年(866年)で、無位から一躍して従二位の神階奉授を受けている。他の論社として、千曲市八幡の武水別神社がある。

水波の命・倉稲魂の命、あるいはどちらかか、鎌倉時代の亀山天皇(在位:1260年-1274年)の時代に合祀されたともいう。

ただ、この時期に学道聖人が修行の末、紀州・熊野権現から水玉を頂き、正観音像を刻み、十一面観音を安置して真言宗を教えたという高峰寺が開基されている。

当社はこれ以降、真言宗高峰寺として、社僧・神職とともに奉仕された。「合祀」とはこのことを指しているのかもしれない。

明治40年(1907年)4月、村社に列した。例祭は5月3日と10月1日。霊峰聖山麓の中腹に鎮座し、全山が新世代の火山であり、山林原野。

参道には樹齢350年の杉、樅の木106本があって、鎮守の森を構成する。ブナ林やお種池とあわせて、県の天然記念物に指定されている。

往古は高梄の山と称し、社名の「ひじり」は聖神社に通じ、「樋」は水路を、「知」は民の暮らしを治めることを示す。

一帯は豊富な水源で、住民から灌漑の種水として崇敬され、かつて干ばつの際には周辺地域からも人々が訪れたという。湧出点の上部から取水し、周辺の飲用水としても利用されている。

お種池(田苗池)の清水は常時9度で、叢祠の周りの水を濁すと滋雨が降るとされ、安曇野筑摩川中平から参拝に雨乞いの神事を行っている。

【ご利益】
水・生命の根源、五穀豊穣、祈雨・天候
樋知大神社 長野県長野市大岡
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