春日山の鳴雷神社を宮中に勧請か? 飲み水や氷・氷室の守護神
鳴雷神社 宮中主水司坐神一座。写真は関連が考えられる春日山中の高山龍王社近くの竜王池
[住所]東京都千代田区千代田1-1
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鳴雷神社(なるいかづちじんじゃ)は、『延喜式』巻9・10神名帳 宮中京中 宮中坐神 主水司坐神「鳴雷神社」に比定される式内社(小社)である。

主水司(しゅすいし/もいとりのつかさ)は律令制において宮内省に属する機関の一つ。宮内省の東隣、大膳職の北隣にあった。

主水(もひとり)とは飲み水のことで、水・氷の調達および粥の調理を司った。

氷は冬場に製造するため夏までの間保管しておく場所として氷室が設置された。氷室は畿内周辺に点在しそれぞれ預という役職者が置かれた。

当社の御祭神は神社名通りだとすれば鳴雷神。どちらかというと飲み水の神であるはずなので、雷が鳴って雨が降り、飲み水に困らないことを祈願する、ということか。

当社と同名の神社が『延喜式』神名帳、大和国添上郡に記載されている。奈良県奈良市春日野町の鳴雷神社である。

春日山中から流れる水は佐保川・能登川の源流であり付近一帯を潤す。その社前には古池の「龍王池(竜王池)」がある。水源の神で、現在の御祭神は天水分神

性質から考えても、当社の勧請元と考えられる。奈良市の鳴雷神社は、現在は小祠で、春日大社の境外末社だが、平安中期には都から使者が派遣されて祭祀がなされた大社だった。

氷室といえば、やはり奈良県奈良市春日野町に氷室神社が、兵庫県神戸市兵庫区氷室町にも氷室神社がある。

いずれも、主水司が管理していた氷室と関わりがあると考えられる。

他にも、京都府京都市北区、奈良県天理市にも氷室神社がある。山梨県南巨摩郡富士川町にも氷室神社はあるが、主水司との関連は不明。

当社も、中世には衰退、南北朝時代までは古代の形が維持されたものの、その後応仁の乱頃までには完全に廃絶したとされる。

同じく衰退し、明治になり復興した八神殿が、天神地祇などを合祀して「神殿」となった際、その天神地祇には当社も含まれているとされる。

であれば、当社は現在、皇居の宮中三殿の一つ神殿に継承されていることになる。

なお、岩手県九戸郡洋野町大野地区にも当社と同名の神社があるが、関連は不詳。

【ご利益】
飲み水や氷の守護神
鳴雷神社 宮中主水司坐神一座