御巫等祭神の1柱、丹後国丹波郡二座と同神か? 機織りと酒造の神
大宮売神社 宮中造酒司坐神六座の四座。写真は勧請元と思われる京丹後市大宮町の大宮売神社の境内の様子
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大宮売神社(おおみやめじんじゃ、大宮賣神社)は、『延喜式』巻9・10神名帳 宮中京中 宮中坐神 造酒司坐神「大宮売神社四座」に比定される式内社(大社、月次新嘗)である。

酒造司(みきのつかさ/さけのつかさ)は、律令制の下で置かれた役所で宮内省に属した。豊樂院の東南、典藥寮の西隣にあった。

主な職務は酒や醴・酢などの醸造。酒などを醸造するための酒殿が設置され、別当、弁などの職が置かれていた。

当社の御祭神である大宮売神は、御巫等祭神八座の1柱であり、丹後国丹波郡に当社と同名の式内社がある。

しかし、御巫等祭神八座のうちの一座であり、また、丹後国丹波郡に記載されているのは二座。

おそらく、御巫等祭神八座も当社も、現在の京丹後市大宮町の大宮売神社を勧請したものと考えられる。

現在の大宮売神社は『延喜式神名帳』丹後国丹波郡の記載通り二座が奉斎されているが、そうなると、当社の他の二座が不詳となる。

大宮売神社の二座は、織物と酒造を司る大宮売神(おおみやめのかみ)、食物・穀物を司る女神である若宮売神(わかみやめのかみ、豊受大神)で、御巫等祭神八座には大宮売神を勧請したものと思われる。

織物と酒造といえば、和歌山県伊都郡かつらぎ町に丹生酒殿神社があり、丹生都比売命を主祭神としている。

ただ、造酒司坐神六座の他の二座が酒殿神社であり、この二座は酒美豆男神・酒美豆女神とされるが、酒美豆男神・酒美豆女神も不詳のため、当社四座の1柱が丹生都比売命かどうかは不明。

また、丹生都比売命の御子神である高野御子も、母とともに織物や酒造に関わった神として知られている。

当社も、中世には衰退、南北朝時代までは古代の形が維持されたものの、その後応仁の乱頃までには完全に廃絶したとされる。

同じく衰退し、明治になり復興した八神殿が、天神地祇などを合祀して「神殿」となった際、その天神地祇には当社も含まれているとされる。

であれば、当社は現在、皇居の宮中三殿の一つ神殿に継承されていることになる。

【ご利益】
機織りと酒造の神
大宮売神社 宮中造酒司坐神六座の四座
『延喜式神名帳』宮中造酒司坐神六座
・大宮売神社四座
酒殿神社二座