天香久山の北麓に鎮座、神武帝ゆかり、式内二社の論社、古い神事
[住所]奈良県橿原市南浦町608
[電話]050-3456-3991

天香山神社(あめのかぐやまじんじゃ)は、奈良県橿原市南浦町、天香久山の北麓にある神社。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 畿内神 大和国 十市郡にある「畝尾坐健土安神社」あるいは「天香山坐櫛真命神社」に比定される式内社(大社)の論社。近代社格では村社。

境内に「赤埴聖地」の碑があり、近くに「白埴聖地」の碑もある。社殿の後ろに巨岩があり、天香久山の御神霊を祀る。

標高152メートルの天香久山は、「天香山」として、『古事記』天岩戸隠れの段で、5回も登場する。いずれも、天照大神を岩戸から引っ張り出す際の準備に必要なアイテムと関わる。

当社の創建は不詳だが、『日本書紀』神武天皇紀に、初代神武天皇東征の際、菟田の八十梟帥を征討する時に、天神が夢に現れ、
天香山の杜中の土で平瓫、厳瓫を作り天神地祇を敬祭せよ
と宣したと見える。櫛真命を御祭神とする。櫛真智命とも表記される。遠く東京の武蔵御嶽神社大麻止乃豆乃天神社などにも祀られている神。

『大倭国大税帳』によれば、奈良時代の天平2年(730年)、畝尾神戸を賜っている。『新抄格勅符抄』によれば、平安時代の大同元年(806年)、一戸の神封があった。

『日本三大実録』貞観元年(859年)には従五位上に叙されている。

式内社「天香山坐櫛真命神社」は、『延喜式』神名帳 宮中京中 京中坐神 左京二條坐神「久慈真智命神(大社、月次相嘗新嘗)」の本社でもある。他の論社に、天香久山山頂の国常立神社がある。

式内社である坂門神社・畝尾坐健土安神社・畝尾都多本神社とともに、「天香山坐四処神社」と称した。例祭は9月中旬日曜日。

他に、古い神事を伝える。旧正月5日には、枝つきの川柳の幹の根本を三つ割り、そこへ生漉紙に「牛玉 天香山大明神 宝印」と刷った牛玉印符をはさむ。

また正月14日には雄松と雌松若枝を一本づつ藁にくくった苗松を60束献じ、座衆に授与する。籾まきの時、牛玉とともに苗代の畔に挿す。

5月10日前後に、ゴオタク祭があり、座衆が御湯行事を行い、その後直会でゴオタクの歌を歌う。10月12日には宮送り神事がある。

境内社に、春日神社・八幡神社がある。

なお、『大和志料』が当社を式内社「畝尾坐健土安神社」としているが、他の論社には、市内戒外町の春日神社、下八釣町の畝尾坐健土安神社がある。

【ご利益】
厄災除け、無病息災、病魔退散
天香山神社 奈良県橿原市南浦町
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