能登国造の祖らを祀る、前田利常誕生の地、11月にどぶろく祭り
能登部神社 石川県鹿島郡中能登町能登部上
[住所]石川県鹿島郡中能登町能登部上ロ70
[電話]0767-72-2176

能登部神社(のとべじんじゃ)は、石川県鹿島郡中能登町能登部上にある神社。能登国造の祖である能登比神と、能登臣の祖である大入杵命を祀る。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「能登生国玉比古神社(能登国・能登郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では県社

社伝によれば、大己貴命が当地を巡行した際、能登比神と能登比咩神に出会い、「わが苗裔たれ」と命じたという。

当社の通称は、上の宮あるいは兄宮。これは、能登部下に鎮座の能登比咩神社に対する呼称で、能登比咩神は、当社御祭神の妹神にあたる。

その後、第10代崇神天皇の皇子・大入杵命が妹の沼名木入比売命とともに当地に下向した。薨去後、郷民はその徳を慕い、郷土開拓の祖神として崇めたという。

兄妹と縁深い地で、能登部郷を兄村・妹村と呼んだとも。当社の南3キロほどの所に小田中親王塚があり、これが大入杵命の墓とされている。

安土桃山時代、前田利家が当地に入国する際、当社を深く崇敬し、その側室である寿福院は当地に住み、加賀藩3代藩主前田利常を出産した。

それ以来藩主の産神として深く崇敬されたという。

宝暦10年(1760年)の『能登国大小神社帳』には、「兄宮能登比古神社、但舊號能登生國玉比古神社、餘喜比古神社」と記されており、一時は、式内社「餘喜比古神社」とも称した。

明治4年(1871年)に現社号に改称、昭和7年(1932年)、県社に列した。

現在は、天照大神豊受大神少彦名命天満天神建御名方命迦具土命を合祀しているという。

どぶろくの醸造許可を得ている、石川県の神社の三社のうちの一つ。他の二社は、先の能登比咩神社と、天日陰比咩神社。いずれも中能登町に所在する。

11月中旬に能登路に冬の到来を告げるお祭りの一つ「ばっこ祭り」、直会にどぶろくが振る舞われることから、どぶろく祭りとして知られる祭りがある。

この祭りは、祝詞奏上・祭事の執行の前に直会があり、どぶろくが振る舞われる奇祭。その後、隣の集落の愛宕神社の女神を迎え入れ、当社神と一夜を同床する。

愛宕神社の女神を迎えに上がる際、無言でなければならず、道中を「覗き見すると目がつぶれる」と伝えられてきたという。

なお、式内社「能登生国玉比古神社」の論社は他に、七尾市所口町の気多本宮と、中能登町金丸の能登生国玉比古神社がある。

ちなみに、当社が一時期主張していた式内社「餘喜比古神社」の論社は他に、羽咋市大町に鎮座する御門主比古神社に合祀された餘喜比古神社、同じく同町に鎮座する餘喜比古神社がある。両社は同一、とも。

【ご利益】
地域安全、地域振興、家内安全、良縁・縁結び、酒造
能登部神社 石川県鹿島郡中能登町能登部上
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