奈良期に敦賀を勧請、『義経記』記載社、御池を含む社叢が天然記念物
[住所]山形県鶴岡市三瀬字宮ノ前1
[電話]0235-73-3148

三瀬気比神社(さんぜきひじんじゃ)は、山形県鶴岡市三瀬にある神社。正式には気比神社のみ。御朱印の有無は不明。

三瀬(さんぜ)は八森山の北麓、三瀬川左岸に発達した宿駅集落だという。

その起源は、第10代崇神天皇の時代、四道将軍大彦命が秋田に至る途中、当地に宿泊したことだという。

当社付近からは、縄文・弥生・平安期などの遺物が出土している。

創建は奈良時代の霊亀2年(716年)。越前敦賀郡氣比神宮の御分霊を勧請したと伝わる。

にも関わらず、「けひ」ではなく、当社は「きひ」となっている。地元では「きび」と読まれるという。

御祭神は不明な点もあるが、本社の御祭神と、後述の境内社の構成から見て、本殿には、氣比大神仲哀天皇神功皇后が祀られているか。

武勇の神とされ、歴代領主や武将などに崇敬され、『義経記』に記載される三世薬師堂は、三世が三瀬であり、当社のことだとされる。

江戸時代になり、最上家が改易されると酒井家が鶴岡城主となり、当社は酒井家から社領の安堵や、種々の奉納物の寄進を受けた。

現在の本殿も宝永4年(1707年)に酒井家が建立したもの。

境内東にある気比の沼、御池は、その年の収穫の量によって水の色が異なるとされることから、古来より神聖視されている場所で、当社とも深い繋がりがあるという。

周辺は深い原生林に囲まれ、「三瀬気比神社社叢」として、国の天然記念物に指定されている。

社叢は約9.4ヘクタール、海から約800メートル、海抜60メートルの小丘陵上に生育している。

丘陵の西斜面は、冬風衝の比較的強い部分で、ケヤキ・イタヤカエデ林となり、高木としてはオオサワシバ・ネムノキ・ミズナラのほかわずかにタブノキが混生している。

御池のの周囲にはよく保存されたブナ林が生育している。風衝地のケヤキ、イタヤカエデ林と風陰のブナ林との分布関係が地形との関連でよく示されている。

例祭は4月12日。それに先立ち、注連祭が4月3日・5日・8日に行われる。庄内地域でも一番早い春の祭典。

紋付き袴や晴れ着姿の約100人が行列し、地域を練り歩く。白装束姿の若者たちが、重さ400キロの神輿を担ぎ、掛け声とともに飛び跳ねながら前に進む「跳ね神輿」が勇壮。

5月8日にはお田植え祭がある。当地では通称「ヤーレ」と呼ばれ親しまれている。巫女たちによる「お田植え舞」の奉納などがある。

境内社に、応神天皇社、日本武尊社、玉姫命社、武内宿禰命社、降矢大神、疱瘡神、稲荷社、太宰府社、秋葉社などがある。

平成22年(2010年)公開の映画『十三人の刺客』のロケ地にもなった。

【ご利益】
武運長久・勝運、五穀豊穣、衣食住、リフレッシュ(公式サイト
三瀬気比神社 - 奈良期に敦賀を勧請、『義経記』記載社、御池を含む社叢が天然記念物
【関連記事】
国の天然記念物がある神社 - 数百年、数千年という単位で存在し続けている自然のパワー
山形県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、山形県に鎮座している神社の一覧