平安期に宇佐を勧請、室町中期の本殿、11月に「巨田神楽」、鴨の越網猟も
[住所]宮崎県宮崎市佐土原町上田島10732-2
[電話]0985-73-1111

巨田神社(こたじんじゃ)は、宮崎県宮崎市佐土原町にある神社。近代社格では郷社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

平安時代の天長8年(831年)9月15日に飛箟原に白羽の矢1対が飛来したためそこに祠を建てたのが創祀と伝える。

初め天太玉命を祀っていたが、寛治7年(1093年)、当地周辺に宇佐神宮の荘園である田島荘が設けられたのにともない、その御分霊を勧請し、爾来巨田八幡宮と称した。

一方で、古田宮と記される記録も残る。御祭神は、誉田別命(応神天皇)、大帯姫命(神功皇后)と、上筒男神中筒男神底筒男神住吉三神となる。

中世には伊東氏の支配下にあり、またこの頃に巨田八幡宮の供僧と蓮光寺院主を兼任した例が見られることから、蓮光寺が別当寺だったとされる。

室町時代の文安5年(1448年)、伊東祐堯の弟である領主佐土原祐賀によって再興され、永正5年(1508年)にも都於郡城主の伊東尹祐によって再興されている。

天正6年(1578年)に日向国が島津氏の領土となってからは、島津家久が法華経一部を奉納するなど島津氏の信仰を集めた。

現本殿は天文16年(1547年)の建立。文禄5年(1596年)に島津豊久、慶長18年(1613年)に佐土原藩主の島津忠興によってそれぞれ修造が行なわれている。

三間社流造栃葺(当初は板葺)、木部は朱色に塗られた本殿は、南九州では数少ない室町時代中期の建造物で地方的崩れも見られず、国の重要文化財に指定されている。

貞享3年(1686年)に摂社今宮社、享保12年(1727年)に摂社若宮社が本殿の左右に建立されたが、ともに一間社の流見世棚造鉄板葺で、県の有形文化財に指定されている。

江戸時代を通じて、佐土原藩主島津氏から藩内七社の一つとして崇敬を受け、藩主の参詣などが行われた。境内には、景行天皇御腰掛けの石がある。

例祭はかつては旧暦9月15日、現在は毎年11月15日前後に行われる。この時「巨田神楽」が舞われる。

その中の綱荒神の舞で登場して両断される藁製の大蛇は、水田に施せば稲がよく成長し、家畜に与えると無病息災になるとされる。

近接する巨田の大池では、佐土原藩藩士が鍛錬のために鴨の越網猟を行なっていた。かつては朝夕の巣の出入りを狙って30の猟場が作られていたが、この伝統猟は昭和初期に一時休止した。

昭和34年(1959年)に保存会を結成して再開され、夕方に飛立つ鴨を待ち伏せて鴨網で捕る。現在もこの猟法が行われている地域は種子島や石川県の鴨池など数少ない。

【ご利益】
厄災除け、五穀豊穣・商売繁盛、安産、交通安全
巨田神社 - 平安期に宇佐を勧請、室町中期の本殿、11月に「巨田神楽」、鴨の越網猟も
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