南越地方の平定・開拓、イナゴ退散の神、大正期の石造「眼鏡橋」
[住所]福井県越前市大虫町21-27-1
[電話]0778-22-5041

大虫神社(おおむしじんじゃ)は、福井県越前市大虫町にある神社。北陸本線の武生駅の西約4.2キロ。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「大虫神社(越前国・丹生郡)」に比定される式内社(名神大社)。近代社格では県社

社伝によれば、第10代崇神天皇7年、南越地方を平定・開拓した天津日高彦火火出見命の霊を鬼ヶ嶽の山頂に祀ったのに始まると伝える。

丹生嶽とも呼ばれ、鬼ケ岳とも表記される鬼ヶ嶽は標高533メートル。現在も当社奥宮が鎮座する。現在は、鵜鵜草葺不合尊大山咋命を配祀する。

第11代垂仁天皇の時代にイナゴが大発生したが、当社に祈願した所たちまちイナゴは退散した。天皇はこれを喜び、当社を現社号と称し、山頂から現在地に遷座した。

国史での初見は、『続日本紀』宝亀11年(780年)12月14日条の、越前国丹生郡大虫神ほかに従五位下の神階を授けるという記述。

平安時代の天徳3年(959年)には最高位の正一位まで昇った。『延喜式神名帳』では越前国の名神大社は氣比神宮と当社のみ。

天正4年(1576年)、柴田勝家によって社殿が焼かれたが、御神体・御神宝は鬼ヶ嶽山頂に移され無事だった。その後、豊臣秀吉によって再建された。

天正11年(1583年)、同じく『延喜式神名帳』の越前国丹生郡に記載される式内社「小虫神社」(豊玉姫命)と、「雨夜神社」(水波之賣命)と「雷神社」(大山祇命)の論社を合祀した。

式内社「雨夜神社」は越前市岡本町の岡太神社と丹生郡越前町の八坂神社境内社が、式内社「雷神社」は越前市広瀬町の雷神社、福井市の大森町の賀茂神社、鮎川町の加茂廼神社がそれぞれ論社。

なお、『延喜式神名帳』には丹後国与謝郡にも「大虫神社」「小虫神社」がある。それぞれ、京都府与謝郡与謝野町の大虫神社小虫神社となる。関連は不明。

境内を流れる大虫川に架かる宮橋がある。石造単アーチ橋で「大虫神社の眼鏡橋」と呼ばれている。橋長7.9メートル、幅員3.1メートル。

凍結や雪害に耐えられる石として大虫町内の石小坂地係で採石した石を用い、7年かかって施工され、大正8年(1919年)に完成。2001年(平成13年)に国の登録有形文化財に登録された。

平安時代に作られた木造男神坐像2躯、それぞれ伝天津日高日子穂穂出見命、塩土尊像と伝わるものが国の重要文化財に指定されている。

社殿の横に、大きな岩を御神体とする大岩神社(お岩さま)が祀られている。境内には「石神の湧水」という湧水が引かれている。

8月15日には、松明を手に鬼ヶ嶽を登る「鬼ヶ嶽火祭り」が行われる。

【ご利益】
害虫駆除・五穀豊穣、病気平癒、地域振興
大虫神社(越前市) - 南越地方の平定・開拓、イナゴ退散の神、大正期の石造「眼鏡橋」
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