京都賀茂の旧荘園、加茂明神のモモとフナの伝承、二つの式内論社
加茂神社(石川県河北郡津幡町加茂ヘ76)
[住所]石川県河北郡津幡町加茂ヘ76
[電話]076-221-4957 - 市姫神社

加茂神社(かもじんじゃ)は、石川県河北郡津幡町加茂にある神社。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「賀茂神社(加賀国・加賀郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

創立年代不詳。京都賀茂別雷神社(上賀茂神社)の荘園(御厨)で、ここで採れた米を京都まで運んでいたと伝わる。その関係で勧請されて当社が創建され、地名にも名残をとどめる。

御祭神は、加茂神(かものかみ)・大山咋神(おおやまくいのかみ)・伊弉冊神(いざなぎのかみ)・建御名方神(たけみなかたのかみ)。

『加賀志徴』によれば、集落の東方1キロほどの所に、かつて「かつら山」と呼ばれた山の崖から清水が湧き出ていた。

この清水は京都の加茂川に通じており、加茂明神の御手洗(みたらし)だったと伝えられる。

その昔、加茂に明神様といわれる神がいた。ある日、フナの姿に変わって川を下っていると、片方の目に風に飛ばされたモモの実が当たってケガをした。

その時、横山の御手洗池に住むフナが、自分の目を取り出し、神の姿に戻った明神様に手渡し、後ろも振り向かずに泳ぎ去っていいった。

その後、明神様は御手洗池が見える丘に移り住み、横山村の人たちも立派なお社を作ったといわれている。

それからは、加茂ではモモが実らないし、御手洗池のフナも片目になってしまったといわれる。

当社地はかほく市の賀茂神社の旧地ともされる。賀茂神社は現在の金沢市御所町にある加茂神社の地に鎮座した後、「加茂」「鉢伏」を経て、現在地に遷座したとされ、当社はこの「加茂」に相当するというもの。

式内社「賀茂神社」の論社は、賀茂神社と金沢市御所町の加茂神社の他、「加茂」の当社、「鉢伏」かほく市鉢伏の閣地神社となる。

なお、金沢市御所町の加茂神社にもフナとモモは不詳も、湧き水「椎木水」があり、眼病平癒に関する言い伝えがある。

また、当社を加賀国加賀郡の式内社「三輪神社」に比定する説もある。式内社「三輪神社」の論社は他に、金沢市の石浦神社、同町北中条の三輪神社がある。

古来加茂地区の産土神として崇敬され、明治6年(1873年)に村社に列した。明治の初期、区内5ヶ所にあった小祠を合併した。

現在は市姫神社の兼務神社である。

【ご利益】
五穀豊穣、病気平癒・眼病平癒
加茂神社(津幡町) - 京都賀茂の旧荘園、加茂明神のモモとフナの伝承、二つの式内論社
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