神話・古代から中世、近代までの系譜、武運長久・勝運、勝利を導く神々
日本の軍神 - 神話・古代から中世、近代までの系譜、武運長久・勝運、勝利を導く神々
軍神(ぐんじん、ぐんしん、いくさのかみ、いくさがみ)とは、軍事・戦争を司る神で、武神とも、あるいは壮烈な戦死を遂げて神格化された軍人の総称である。戦勝や武運長久を祈願し、聞き届けてくれる神々。

日本に限らず、ギリシア神話、ローマ神話、中国、インドなどなど世界中で見られる現象だが、神話の時代から近代、そして現代まで、信仰として影響を及ぼしている日本のような例は皆無であり、その意味では、日本独特のものともいえる。

軍事行動には「死」が付きもの。死者の慰霊・鎮魂が日本の信仰の柱である以上、軍神が生まれやすい信仰環境が日本にはある。

近代の一時期、軍神が戦争の象徴として、戦争遂行のためのツールになってしまった、という、悲しい史実は確かにあったし、それは反省されなければならないが、この一事をもって万事を否定するという姿勢も間違っている。

軍神は戦争を連想させるからダメ、などと言ってては、それこそ歴史を顧みない、愚か者になってしまう。このような信仰がなぜ生まれ、どのように展開し、今にどうつながり、今後どうなっていくのか、どうすべきなのか、という視点こそが大事なのだろう。

ここでは、神話・古代から中世、近代までの主な軍神を系譜的に列挙し、それに関係する神社についてのリンクを付けた。

神話・古代

タケミカヅチ

タケミカヅチ
[神社]鹿島神宮
[鎮座]茨城県鹿嶋市

フツヌシ

フツヌシ
[神社]香取神宮
[鎮座]千葉県香取市

タケミナカタ

タケミナカタ
[神社]諏訪大社
[鎮座]長野県諏訪地方

※以上は関東三軍神である。神話・伝承などでのイメージからか、スサノヲウマシマジヤマトタケルなどを軍神とする向きもあるが、後世の武人が戦勝祈願としてこれらの神々を奉斎した例は存外少ない。

中世・近世

楠木正成

楠木正成
[神社]湊川神社
[鎮座]兵庫県神戸市中央区

新田義貞

新田義貞
[神社]藤島神社
[鎮座]福井県福井市

上杉謙信

上杉謙信
[神社]上杉神社
[鎮座]山形県米沢市

※軍事政権としての源氏の氏神である八幡神も軍神とする向きもあるが、八幡神はあくまでも源氏の氏神であり、また、八幡神が応神天皇であるのであれば、軍神としての色彩は薄い。詳細はこちらから。

近代

乃木希典

乃木希典
[神社]乃木神社
[鎮座]日本各地

東郷平八郎

東郷平八郎
[神社]東郷神社
[鎮座]東京都と福岡県

児玉源太郎

児玉源太郎
[神社]児玉神社
[鎮座]神奈川県と山口県

広瀬武夫

広瀬武夫
[神社]広瀬神社
[鎮座]大分県竹田市

橘周太

橘周太
[神社]橘神社
[鎮座]長崎県雲仙市

※近代日本の軍神はこのほかにも多数にのぼる。ここでは、神社に祀られている軍神のみを抽出した。神社こそないが、毎年の慰霊祭が行われている近代日本の軍神も多い。詳細はこちらから。

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