五師宮とも呼ばれた式内古社、江戸期に火災で勧請した愛宕社と8月に火祭り
[住所]兵庫県豊岡市出石町中村809
[電話]0796-52-3837

伊福部神社(いふくべじんじゃ)は、兵庫県豊岡市出石町にある神社。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「大生部兵主神社(但馬国・出石郡)」に比定される式内社(小社)の論社。兵主神社の一つ。近代社格では郷社。

出石川の支流の奥山川沿いに鎮座し、近くには鍛冶屋という大字がある。樹齢1000年といわれる御神木の杉の木が拝殿前にそそり立つ。

素盞鳴命天香山命・伊福部宿禰命を御祭神とする。第13代成務天皇4年2月、国造である船穂足尼が素盞嗚命を祀り、大生部兵主神社と称した。

弘原庄中村に鎮座し、大生部神社とも崇めたという。あるいは天平19年(747年)、伊福部連が自身の祖である天香山命を祀る、とも。

天正4年(1576年)、出石領主山名家より田畑三町歩の黒印を受けた。江戸時代には氏子より田の寄進があり、石高は10石を有す。

また、近世には天日槍命の現御身を弘原の榎見の五師という地に隠し祀ったことにより五師宮とも称し、後に伊福部の地に遷し祀られたのが当社ともされたため、五師宮などと呼ばれた。

式内社としての比定もこの頃のこととされ、伊福部と式内社名の音の近さが大きな根拠とされている。

式内社「大生部兵主神社」の論社は他に、奥野と但東町に式内社と同名の神社があり、三宅に穴見郷戸主大生部兵主神社がある。

天保4年(1834年)、火災により社殿が炎上、安政2年(1856年)、本殿再建にあたり、出石藩主仙石讃岐守から寄進があり、現在の社殿が造営された。

明治6年(1873年)10月、村社に列し、大正10年(1920年)3月、郷社に昇格した。

例祭は10月15日。諸杉神社石部神社とともに、「だんじり祭り」と称して約20台のだんじりをして出石城前でぶつけ合う喧嘩祭りを行う。

天保4年の火災を機に、火防の神として有名な、京都愛宕神社の御分霊を勧請、現在に伝わる境内社の愛宕神社である。明治末まで愛宕講が組織され、年々の祭典も盛大だったという。

現在、8月24日に近い日曜日に愛宕神社の例祭が行われる。昭和55年(1980年)に復活した愛宕火祭で、まず木と木をすり合わせて行う「火起こしの儀式」が行われる。

さらに音をたてて燃え上がる麦わらの束を縄で持って勢いよく振り廻して、厄除、無病息災を願う。同時に地区の火祭太鼓が打ち鳴らされ頂点を迎える。

境内社にはこの愛宕神社(火結神奧津比古神奧津比女神を配祀)の他、稲荷神社(宇迦之御魂神)、天満神社(菅原道真)がある。

なお、式内社「大生部兵主神社」の論社は他に、市内三宅の穴見郷戸主大生部兵主神社奥野薬王寺の式内同名神社がある。

【ご利益】
無病息災、厄災除け、火防
伊福部神社 - 五師宮とも呼ばれた式内古社、江戸期に火災で勧請した愛宕社と8月に火祭り
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