五男三女神(ごなんさんにょしん)とは、アマテラススサノヲの誓約によって生まれた、5柱の男神と3柱の女神、計8柱の総称である。3柱の女神は宗像三女神

『古事記』においては、5柱の男神がアマテラスの子、3柱の女神がスサノヲの娘と明記され、実際、アマテラスの子の男神5柱の長子が、天孫ニニギの父で、皇統に連なる(『古事記』該当部分)。

ただし、現在は、五男三女神が全てアマテラスの子、あるいはスサノヲの子とみられる場合がある。

誓約によって生まれた8柱
アメノオシホミミ - 男神、天孫ニニギの父
アメノホヒ - 男神、出雲国造家の祖
アマツヒコネ- 男神
イクツヒコネ - 男神
クマノクスビ - アマテラスの子として男神の一柱
タキリビメ - 女神、オオクニヌシと結婚
イチキシマヒメ - 女神
タギツヒメ - 女神

これら8柱の神々を総称して、八王子と呼ばれる場合がある。地名や神社名などにも用いられる八王子ではあるが、八王子とした場合は、五男三女神を指すのではなく、一般に、スサノヲの御子神の8柱を指す場合が多い。

スサノヲの御子神の8柱
八島士奴美命 - クシナダとの子。子孫にオオクニヌシ
・五十猛命 - 大屋毘古命と同一神とされる
・大屋津比売命 - 五十猛命の妹
・抓津比売命 - 五十猛命の妹
大歳神 - カムオオイチヒメとの子
宇迦之御魂神 - カムオオイチヒメとの子。いわゆる稲荷神
大屋毘古命 - 五十猛命と同一神とされる
須勢理比売命 - スサノヲの愛娘でオオクニヌシの正妻

上記の計16柱、上記でリンクされていないものは『古事記』において神名が見えないものであるが、いずれにしても、『古事記』において、全く別々に記載されており、両者の性質は異なる。

ただし、いずれも「スサノヲの子」という括りで見られる場合に限り、混同されることはあり得、実際、現在に至っては、両者が混同されて使用されているケースは珍しくない。

一例として、八坂神社はスサノヲとその子らを祀る神社と考えられるが、京都の総本社では八王子を祀り、一部の八坂神社では五男三女神を祀っていることもある。

【五男三女神を祀る神社】
美波多神社 - 新開発の村に勧請された氏神が、元伊勢などを合祀して地元に根付く
八幡竈門神社 - 仁徳期創建、宇佐から降臨した八幡神を祀る白亀ゆかり、ニータン生誕地
国府神社(志摩市) - 明治の改称や合祀を経て現社号になった志摩国総社と推定される社
雲出神社 - 三重県津市、大國御魂神を祀る、元伊勢「阿佐加藤方片樋宮」の伝承地
加良比乃神社 - 三重県津市、式内社の古社、元伊勢「阿佐加藤方片樋宮」の伝承地

布気皇館太神社 - 三重県亀山市、式内社で元伊勢「奈其波志忍山宮」の伝承地
枚聞神社 - 「航海神」としても尊崇される、薩摩国一宮を巡って新田神社と争う
大野神社(新城市) - 最古の棟札は鎌倉時代、伊勢神宮ともゆかりのある古社
八坂神社(北九州市) - 小倉祇園太鼓で知られる豊前総鎮守・小倉祇園社、創建400年
菅田天神社 - 甲府の鬼門、武田氏家宝の「楯無鎧」が安置され、相殿に菅原道真を祀る

大将軍八神社(上京区) - 王城鎮護の方除けの神、平安期の古神像80体は春秋2回一般公開
深川神社(瀬戸市) - 奈良期創建の瀬戸の産土神、瀬戸物の陶祖を祀る境内社と陶祖祭
難波八阪神社 - ヤマタノオロチ退治にちなむ綱引神事、夏祭では船渡御が230年ぶりに復活
揖宿神社 - 浜下りで知られる、天智天皇の行幸を機に創祀された開聞新宮九社大明神
北岡神社 - 熊本市域の最古社、京都祇園を勧請し、平安後期には「第二の祇園社」とも

若宮八幡神社(豊後高田市) - 日本三大裸祭り「川渡し神事」と大松明、ホーランエンヤ
重蔵神社 - 8月の輪島大祭のキリコ祭り、3月に数百年の歴史ある如月祭、朝市通りに産屋
佐那神社 - 『古事記』に天手力男命が坐したと明記された式内社、伊勢外宮と深い関係
八津島神社 - 宇佐神領開発で奈良期に創建、大友宗麟寄進の鳥居、10月の大祭では神楽
八坂神社(鹿児島市) - 平安末期に京から勧請、7月後半に祇園祭、六月灯が始まる神社

白糸浜神社 - 舞鶴鎮守府の設置に伴う区画整理で稲荷・蛭子・水無月明神の三神社が合併
須賀神社(新宿区) - 稲荷と天王社を合祀した東京四谷総鎮守、『君の名は。』の主舞台
山辺神宮(江津市) - 式内「山辺神社」、平安期に祇園信仰、4年に一度の水上渡御
御器所八幡宮 - 熱田神宮の神器、佐久間氏の崇敬、家康も参詣、多くの神事を斎行
洲崎神社(名古屋市) - 平安前期に出雲から勧請、江戸期には名古屋屈指の大社、和鏡

陽夫多神社 - 宣化朝の創建、高松橋、羯鼓踊り・裸々押し・祇園祭など伝統行事
力侍神社 - もとは大斎原に鎮座、川辺王子跡、中村王子跡の楠本神社を合祀
花垣神社 - もとは春日社、春日大社の神が見たいと宣った八重桜、芭蕉も一句
八雲社(三木市) - 億計・弘計2皇子、秀吉ゆかり、境内に式内論社? 10月に屋台
御井神社(養父市) - もとは御祓山山頂に鎮座、旧暦1月14日に「まいそう祭り」

八柱神社(明和町) - カゴ山近くの式内「天香山神社」、明治に合祀、昭和に復社
大國玉神社(松阪市) - 神宮へ若菜を供する若菜御薗の御厨、式内含む八社を合祀
伊勢寺神社 - 室町期に疫病鎮めの神を勧請、明治期に式内3社など27社を合祀
射山神社 - 伊勢内宮の「七栗御園」と温泉、長命水「榊の井」と湯立神事
丹生神社(多気町) - 縄文からの丹生鉱山、祈雨・祈晴の神、神宮古材と伊勢椿

射手神社 - 義経が祈願、西行が詠んだ弓・武の神、室町初期の十三重塔
岩根神社(江津市) - 田心姫命・胸鉏比売が「隠れた」地に日御碕神社を勧請
田守神社(伊賀市) - 伊賀臣が祖神を奉斎か、吉田神社の地に遷座、10月に秋祭
勝手神社(木津川市) - 木津川南岸鎮座の鹿背山明神、境内に国神社合祀の春日社
鶴見神社(大阪市) - 近江比叡からの移住者が勧請、頼朝の鶴が評判に、だんじり祭り

王子宮(芸西村) - 藩政時代に式内・坂本神社と認定、旧郷社に、全国最小?
茅渟神社 - ちぬ=クロダイ、魚釣り愛好家の崇敬、特殊な秋祭り渡御とチヌ戎
室田八王子神社 - 5月例祭と7月浜降祭で神輿渡御、江戸後期の彫刻ある社殿が現存
菱沼八王子神社 - 江戸中期再建、正一位の記録、7月例祭で渡御、タブノキの巨樹
本村八王子神社 - 鎌倉期より崇敬、新田義貞が社参、境内の八坂神社が浜降祭参加

宇奈為神社 - 山間部に海神を祀る、後に熊野権現を勧請、地元では今も十二社神社
高取神明宮 - 南北朝初期の創建、伊雑宮の神々、10月第4日曜日におまんと祭り
神神社(総社市) - 三輪山明神、もとは宮山古墳のある高梁川東岸の三輪の地
石田神社(上津屋里垣内) - 木津川の流れ橋近く、飛鳥朝の創建、もとは牛頭天王社
氷川神社(松江市) - 平安前期の勧請、式内論社などを合祀、10月相撲、7月祇園祭

阿志神社 - 渥美半島・芦ヶ池の北、阿智使主の裔、江戸期に復興、瓦に神代文字
香山神社 - 開拓の祖神、天香山命を祀る、摂社に天日矛祀る同規模の牛尾神社
伊弉諾神社(高浜町) - 渡海族の祖神を奉斎、後に国家鎮護の霊神を祀る、龍の舞
東八王子神社 - 家康造営と伝わった社殿は幕末に倒壊、式内・長野神社の論社
松尾八王子神社 - 西ノ宮、10月例祭で屋台曳き回し、境内でも行事、式内論社とも

濱名惣社神明宮 - もとは浜名県主が祖神を祀った英多神社、後に浜名湖七神明の一つ
物部神社(津市) - 新家の地、ムクノキの巨樹の天王森に鎮座する山辺の宮
彌加宜神社 - 大森神社、風土記記載の杜清水が今もこんこんと、7月に大名行列
比佐豆知菅原神社 - もとはヒサツ畑、草生城築城で遷座、鎮護の草生天神、3月天神祭
石積神社(河辺町石立) - 巨岩を祀る石立明神「いしたてさん」、天智朝再興

須賀神社(松阪市嬉野権現前町) - 倭姫命が創建、もと須加権現、初瀬街道の導きの神
横道下神社 - 創祀年代や由緒不詳、もとは八王子祠とも、旧別当は横知山圓照寺
深田神社(鈴鹿市) - 深田郷、若松御厨で近世までは神明宮とも、毎月の宅神祭
小許曽神社 - 後に神明が勧請された西宮三座・東宮二座の五社神明、粥試の神事
加富神社(山田町) - 吉田ヶ原の加富森、秦氏が祖の神饒速日命を奉斎、10月渡御

明神社(津市芸濃町) - 伊勢内宮神領「舟底田御薗」、式内・志婆加支神社とも
四疋田八柱神社 - 式内・相鹿木大御神社とも、津田神社に合祀も復社、銅鐸出土地
荻原神社(大台町) - 式内・榎村神社の八柱神社、旧満蒙開拓団の双龍神社を合祀
下外城田神社 - 旧下外城田村各字に鎮座した各社を合併、明治42年に遷座祭を斎行
八坂神社(上越市) - 式内・佐多神社とも、諏訪・日吉を合祀、伝統の大祭・祇園祭

足見田神社 - 神宮とのかかわり、7月に水まつり「諏訪おどり」、5月に新茶まつり
須原大社 - 月夜見宮境内社の旧地、式内・川原坐国生神社? 2月お頭舞神事